怪獣の名前の傾向とデスラー総統のこと

今年はゴジラ誕生から60年らしい。

4月9日のサンケイ新聞の記事「国語逍遙・45回」(清湖口敏氏・著)で怪獣の名前についても付け方の傾向(?)があるというようなことが取り上げられていたのだ。

 

まず、ゴジラの名前については「ゴリラとクジラを合わせた造語」(広辞苑)であると。

しかし、その後モスラやガメラ、キングギドラなどの怪獣が登場してきたことで、怪獣の名前の「らしさ」というか、傾向らしきものが出来ていったということが書かれていた。

 

呉智英氏の著作からの引用も掲載されていた。

呉氏曰く「怪獣の名をつけるのなら濁音とラ行音だということになった。」

「短い音数の中にこれを多用すると異様な感じがする。これが怪獣の名にぴったりであった。」(「ロゴスの名はロゴス」)とのことなのだそうだ。

 

記事は日本語には濁音とラ行音は異色であり(このことは古代は今よりもっと顕著だったらしい)、語頭に濁音が来ると負の語感や音感にまみれることが少なくないと説く。

「振れる」と「(方針が)ぶれる」、「さま(になる)」と「ざま(をみろ)」などは、濁音化で語感が汚らしくなっている例である。

擬音、擬態語においてもしかり、「ここころ」と「ごろごろ」、「きらきら」と「ぎらぎら」では受ける印象の違いは歴然としていると。(確かに随分印象は違う)

それが怪獣の名前をつけるのにも反映されていると論じられていたのだった。

記事はもっともっと言葉についての考察が続けられるのであった。(でも難しいので私はもう割愛します…)

 

ふーん、なるほど、そうか、そうだったのだね…と私もこの記事を読んで至極納得した。

そういえば怪獣らしい名前って、語感が皆似ているなぁ…というのは誰もがなんとなく思っていたことではないだろうか。

怪獣とは、我々とは異形のもの、禍々しさも兼ね備え、あくまで畏怖の対象であるがゆえに、そのイメージに合う普通ではない語感の名前が必要なのであろう。

記事にあった以外にもペギラとかガラモンとかベムラーとかヘドラとかバルタン星人なんて、例に違わないのはいっぱいある。(例えが古い・笑)

きっと挙げればもっとあるだろう。

なんとなく思っていたことにも、ちゃんとこういった理由があったんだ…新聞記事よありがとう!目から鱗が落ちたようである。

 

同時に私はこの記事を読みながら、フッと気付いたのだった。

あの…、そういえば私の最愛のお方「宇宙戦艦ヤマト」のデスラー総統もこれに当てはまっちゃってる?!ってことに!(笑)。

デスラー総統が率いる星自体の名前もガミラスだし…。

ガミラス側の名前とて、シュルツ、バーガー、ゲットー、ハイデルン等々、普通の名前ぽい人もいる。

いや、しかしそれはあの星の人たち、第三帝国のヒトラーやロンメルやヘスをもじってるんじゃないか…?疑惑から考えると、そっち方面からの転用例もそれはそれでありなんだろう…。

 

とりあえず怪獣濁音ラ行音パターン適用疑惑としては、デスラー総統以外にもドメルやゲールに、バラン星基地なんかも(あそこにはバラノドンという怪獣みたいなのもいたし・笑)該当ではないか?

前述の脇の人々はまだしも、総統達トップの方はバリバリ侵略宇宙人で悪者設定だから、バルタン星人と同じような扱いでもおかしくないということであろうか。

後の「ヤマト」シリーズ作品の悪い人たちも濁音ラ行音パターンを踏襲している人名も結構あるし…。

デスラー総統がもしも「テスラー総統」だったら名前から受ける威圧感や恐怖感がないし、敵方として強敵か?安易に和睦も結べそうな気もする…なんて思う。

交流電流発明者みたいだし…(笑)。

 

この一連の流れで、デスラー総統のお名前が怪獣の名前と同じような系列かも?疑惑が私の中にしっかり芽生えてしまった。

そして一度芽生えたそれは、なかなか払拭できないのだった(笑)。

たまに作品中でデスラー総統が役職名なしの名前のみで「デスラー」とヤマトの皆や古代君、スターシャなどに呼ばれている場面もある。

今後、劇中で総統が敬称なしで呼ばれるのを聞く折には、私は絶対「怪獣みたいだ、クスクス…(笑)」と思ってしまいそうだ。

いやーん、ごめんね、総統!(笑)

 

ドメルやゲール…、そんな怪獣もいそうな気もする…。

でもやっぱりデスラーって怪獣がいそうです!(笑)

 

新作「ヤマト2199」ではデスラー総統はアベルト・デスラー、ドメル将軍はエルク・ドメル、ゲールだってグレムト・ゲールというふうにファーストネームもちゃんと付けてもらってたから、もう全然、怪獣じゃないね。

旧作品は面倒くさかったのか、ただの「デスラー」ぽっきりだもんね。

音節短いし、濁音語頭のラ行音入り…法則的にはれっきとした怪獣だろう(苦笑)。

百歩譲って怪獣じゃなくても、異形の宇宙人ぽいような気がする。

ふと考えるにキムタク主演の実写版「ヤマト」でガミラス側が異形の生命体でクリーチャーみたいなものが「デスラー」って名乗ってたけれど、あれってある意味正解だったのか…?(笑)

 

だけど、あえて私は言いたい!(自分にも言い聞かせたい・笑)

実際のデスラー総統は見目麗しく洗練されたお洒落な紳士で、おまけにナルシストまで入っているという筋金入りの伊達男である。

総統の実体は名前の怪獣疑惑など吹っ飛ばしてくれる位素敵なお方なのである!!…と。

…、なんだか無理矢理な非常に苦しいフォローである(笑)。

                                                         戻る