ロマンアルバム・デラックス(43)宇宙戦艦ヤマトⅢ

  昭和56年6月30日発行/ 発行所 徳間書店/ 122p/ 定価680円

 

 

(内容)

 

★ピンナップポスター(マザーシャルバートとルダ王女、裏面・ヤマト)

 

★「Art Design]ダイジェストビジュアルストーリー  p11~p42(32p)

 

   全26話分のカットと粗筋。画面カットに所々セリフを記載している。

   カットの大きさは小さいがその分数が多い。

   オープニングとエンディングの画面も載っている。

 

★「Special Area」  p43~p56(14p)

 

   ①女性、②恋愛、③地球、④異星、⑤宇宙、⑥効果、⑦効果、⑧戦艦、

   ⑨特集、各項目別に場面カットを編集  

 

★「Image Illust」  59p~63p(5p)(黒、紺の2色刷り)

 

   小泉健三、宇田川和彦、白土武、芦田豊雄、金田伊功、以上5名のイラスト

 

★「Mechanism Sect.」  p64~p75(12p)

   

   メカ設定集(地球、ガミラス、ボラー)

 

★「Art Sect.」  p76~p87(12p)

 

   美術設定編(地球、ガミラス、ボラー、シャルバート)

 

★「Character Sect.」  p88p~108(21p)

 

   キャラクター設定画とともに担当声優さんの写真が配置され、

   一言コメントも掲載されている。

 

★「Organize Step」  p109~p112(4p)

 

   ヤマトⅢ構成案、52話予定だった準備案、ラフ稿、山本暎一氏の基本構成案

   と出淵裕氏、星敬氏によるヤマトSF的戦闘、戦略案が掲載されている。

 

★「スタッフの私にもひとこと」  p113~p117(5p)

 

   松本零士、山本暎一、山本英明、笹川ひろし、鳥海俊材、勝又激、板橋克己、

   出淵裕、サブマリン、釘丸篤、小泉健三、宇田川和彦、芦田豊雄、白土武、

   金田伊功、宮川泰、   以上16名執筆。

 

★ヤマト主題歌公募選作品2作「ヤマトよ永遠に」「別離」2曲掲載。  p118p~119(2p)

 

★「Staff Area」p120~p121(2p)

 

★スタッフリスト、キャスティングリスト、放映リスト。

 

★裏表紙に西崎義展氏の挨拶。

 

 

(感想)

 

「宇宙戦艦ヤマト」シリーズにおいては、当然のことだが地球側のヤマトとその乗組員たちが主役である。

勿論「ヤマトⅢ」だって、ヤマトと地球の人々が主役であることは間違いない。

しかし同時に、もしかしたらこの話って、デスラー総統の率いるガルマンガミラス側も地球側と同等位のもう一つの主役なんじゃない?という感じを受けた。

ガルマンガミラスの存在は物語上非常に大きい。

地球の危機の原因も元々は、こことボラー連邦の戦いのとばっちりだし…。

ヤマトの航海をいろいろと混乱させ続けるのも、全てガルマンガミラスがらみのような気もする(苦笑)。

 

ガルマンガミラスは一作目のヤマトの敵役だったデスラー総統が新たに建国した帝国である。

シリーズを見続けていた者にとっては馴染みのある存在でもある。

ここの存在感が大き過ぎるので、新しい敵であるボラー連邦の存在感はなんだか薄い。

 

一般の視聴者の気持ちはよく分らないが、デスラー総統ファンである私は、総統の建国したガルマンガミラスの姿、総統の近況(近況って…笑)を見せてもらえたことが、ミーハー的に嬉しかった!

そんなこともあってか、私は「ヤマトⅢ」を他の作品より贔屓目に見ているのかもしれない。

私にはとっては決して捨ておけぬ注目作品なのである。

 

しかし、私が注目しているものの、いかんせん「ヤマトⅢ」については私が見た限り、ネットでもあまり多くのことは語られていなかった。

そして、人気に比例するのであろうか、出版物の数も案の定やはり少い。

デスラー総統好き→「ヤマトⅢ」についてはもっといろいろ知りたい→でもムック本は少ない!という理由で、このサイトを作った後すぐに、私がネットを通じて購入の為に熱意を持って探したのがこのロマンアルバムであった。

ヤフオクで落札に失敗した後、偶然「まんだらけ」で安く出ているのを見つけ、急いで購入して一安心したことが今では懐かしい(懐かしいって…、半年位しかたってないけど…・笑)。

 

このムック本を読んで一番印象に残っていることは、制作スタッフの方々のコメントや、声優さんたちの一口メモの中に、不完全燃焼というか、もっと満足のいくものにしたかったというような無念の気持ちがちらほらと見え隠れすることだろうか。

こんなにもう一度作り直せたら…といったニュアンスが漂うコメントの掲載されたムック本は珍しい気がする。

本来52話予定が、打ち切り状態で25話で話を終結させなければならなかったと書かれていた。

そのことで、製作側は相当苦労したのかもしれない。

 

読みどころの一つは、「Organize Step」で、52話分の放映予定のタイトルの一覧表が載っていることだ。(簡単なストーリーメモ付きなので内容も少し推測できる)

本来ならば、ボラー連邦の他にも敵が設定されていたとか、揚羽の父が物語に関わってくるとか、土門とルダが恋仲になるはずだったとか、山上トモコが出産するとか、最初の設定では多彩な展開があったことが分る。

ふーん、そうなんだ…、興味深いなぁ…。

これを見られただけでも、この本を手に入れて良かったと私は思った。

 

ムック本の内容について細々と言うと、フィルムストーリーになっている各話紹介ページはカットのサイズは小さめだが、その数はたくさんで、「ヤマト2」のロマンアルバムよりもっと細々した感じ。

そして粗筋記述、カット部分に添えられた本編のセリフなどの文字のサイズも随分小さいので情報量は多めになっている。(老眼の私には辛いぞ!笑)

 

設定資料部分も結構充実していて、メカ、人物だけでなく美術背景も多く取り上げられている。

ガルマンガミラスの都市の様子に興味をもってDVDを観ていた私にとっては、じっくりとその細部も見られて嬉しい点であった。

この本の「Special Erea」という部分は本編からの画面抜粋だが、受ける感じは設定資料の延長みたいだ。

カラーな分、普通の線画の資料よりも見て楽しかったかも。

 

あと、作画監督さんたちのイラストが二色刷りページに載っているのだが、皆さんそれぞれキャラを個性的なイメージで描かれていることが面白いなぁと思った。

私には芦田さんのデスラー総統の画が、「えっ?総統…?!」という感じで…。(いいんだけど…、ちょっと動揺したかも…笑)

 

「ヤマトⅢ」のロマンアルバム、前の「ヤマト2」のと比べると、本から受ける熱気が少ないような気がする…。

至極冷静に淡々とした編集の仕上がりになっているように思うのは私だけだろうか…?

読み終えるとちょっと落ち着いた気分になる本です。

もうちょっと興奮状態に導いてもらいたいような…、うーん、それは贅沢な望みか?(笑)

 

 

(独断!デスラー総統追っかけ目線メモ)

 

デスラー総統を中心にこの本を見ると、ダントツ「Organize Step」という部分の「ヤマトⅢ」の初期の構成案(52話分)が必見であった。(上の感想でも触れたけど)

ガルマンガミラス側の登場人物の設定も本来は随分多彩だったようだ。

勿論、短縮され削られた部分にこれらが生かされる場面があったのだろう。

今となっては、そのことについても、この構成案を読みながら想像するしかないのだが…。

 

実際の放映分25話版では単なる軍事会議の進行役や、総統の命を部下に伝えるような場面しか出番がなかったキーリングを例にとってみる。

彼が帝国のナンバー2であることは現行作品においてもなんとなく視聴者は分るのだけれども、初期の設定では、もっと明らかにナンバー2らしい場面が用意されていたようだ。

その上、戦闘面でも自らが戦いの指揮を取ったり、もっと見せ場の多いキャラだったようなのである。

キーリングって、クールで見た目もまあまあ美形だし(髪型はスキンヘッドだけど…笑)そんな活躍場面があったなら是非見たかったなぁ。

 

そして我がデスラー総統についても、この初期設定ではシャルバート星を巡ってヤマトと、はっきりと対立、対決姿勢をとるようだ。

25話の現行作品では短縮されたせいであろうが、総統がシャルバートの科学力、武器を手に入れるのを諦める場面は、極々簡単に描かれていて、あっけなさすぎるといってもよい。

それが初期設定ならば、友人である古代と戦うことになっても、簡単には引き下がらず、宇宙統一の野望の為に、自らヤマトと直接の対決も厭わないような過激な設定だったようだ。

でも最終的には、改心(?)してくれて、退いてくれるみたいだけど…(笑)。

 

簡単には野心を捨てたりはしない一筋縄ではいかない総統が初期設定にはいたようだ。

う…ん…、あの人って、きっとほんとはそんな人なんだと私も思う(苦笑)。

この52話バージョンだったら、総統の本来の持ち味、冷徹で苛烈で野心の固まりみたいな部分を「ヤマトⅢ」でも見ることになったろう。

それって楽しみだけど、実際観るとどうだったか…?(酷い人になり過ぎてたら…どうしましょ…?と、ちょっと心配かな・笑)

 

現行25話版には、宇宙統一の野望は綿々と抱き続けているが、かつてに比べると格段に人間が丸くなったデスラー総統がいた。

覇気が控えめになった分、物足りなさも若干感じるものの、私的には、この妙に物わかりの良くなったような総統も結構好きなのである。

少し良い人オーラが漂いながらも、依然悪者臭もそこはかとなくあるというアンバランスでミスマッチの雰囲気がなにやら「かわいい」気もする(「かわいい」なんて…総統は聞いたら怒るだろうなぁ…・苦笑)。

このような総統の変わり様だって、あんなふうに人生において、いろんな物を失った経験の結果だと考えれば、それはそれで人の形として面白いと思っている。

なので、やや唐突な感じ、不自然さはあるかもしれないが現行版の総統については容認派なのだった。

 

私が見ても「ヤマトⅢ」の物語展開は消化不良部分もあるし、上滑りに終わった感もある。

が、部分部分では、総統の帝国再建が出来たのを見られて良かったとか、妙ちくりんなシャルバート星の平和提唱の是非を考えさせくれる問題提起のような部分など(制作側はそんなつもりじゃないかもしれないが、私は勝手にそう思っている)、私の心に触れる所がいろいろあって、非常に興味深い作品であると思っている。

なので未完成な作品という気もしながら、一方ならぬ愛着が沸いてくるのだ。

あの初期設定を見ると、面白くなりそうな要素が満載なのになぁ…、打ち切りになってバタバタと取ってつけたような結末にもっていかざるを得なかったことが大変もったいない気がする。

ちゃんと52話の形で観たかったなぁ!!と切実に思っているのだった。

まあ、今頃、私がそんなことを、ここでボヤいても仕方ないのだが…(苦笑)。

 

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