矢田耕司さんの訃報にショックを受ける

 声優、矢田耕司さんが亡くなられた。

お悔やみ申し上げます

ネットを見ると「ワンピース」での役柄を思い出す方、「ドラゴンボール」での役柄を思い出す方、その他にも皆さんいろんな役柄を思い出されていた。

私にとっては矢田さんといえばやはり「宇宙戦艦ヤマト」のデスラー総統の腹心の部下タラン将軍の中の人である。

 

あのタランの誠実な人柄と堅実な仕事っぷりのキャラクター造形は、何よりも矢田さんの演技の確かさに支えられていたといってもよいだろう。

特に「ヤマト2」以降の作品で見せてくれた、デスラー総統とタランの会話のあのなんともいえぬ「間」は何度見ても絶妙である。

二人ともそれほど多弁なキャラではないので、会話の間合いがその場の雰囲気を表現する形になっていた。

「間」でもって人物の内面心理を表現するような…といってよい演技である。

とにかくデスラー総統の伊武さんもタランの矢田さんも、「間」のとり方が大変上手いのである。

あの間合い、まるでベテラン漫才師の熟練の味わいのようである(笑)。

 

勿論今も作品を見れば、そこには変わらぬタランがいるはずだ。

アニメの人々は永遠の存在で、作品に向き合えばいつだって変わらぬ気持ちで彼らと向き合えると思っていたはずなのに…。

しかし、矢田さんの訃報を目にした時の私のこの動揺はどうだ?

「ヤマト」1作目放映からから既に40年になるのだから、当時の声優さんの訃報に接するということも年月の長さを考えると十分にあり得ることも分かっているつもりである。

 

振り返ってみれば、今回のタランだけではない。

古代君も沖田艦長も真田さんも佐渡先生も、声を当てられていた方々はもういらっしゃらないのだ。

声を当てられていた方々の訃報を目にする度にやり場のない、どうしようもない寂しさにおそわれる…。

作品はそのままでも、生身の私たち人間は日々老いてゆく、それは誰も避けられない時間の流れの中に私たちがあるからだ…。

変わらない作品を見ると余計に変わってゆく自分自身と自身の在る現実世界を自覚させられるような気もするこの頃である(しんみり…)。

 

デスラー総統役の伊武雅刀さんは当時、メンバーの声優さんの中ではお若かったから、今も現役ばりばりのご活躍中である。

伊武さん、どうかこれからもいつまでも、そのお声、演技で私をトキメかせてください!

最後にもう一度、矢田さんに謹んで哀悼の意を捧げます。

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