「軍師官兵衛」の伊武雅刀さんの演技に感動したこと

NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」10月12日(日)の放送分第41回「男たちの覚悟」で千利休が秀吉に切腹を命じられてドラマから退場となってしまった。

物語の流れからして、遠からずその日がやってくるのは予想していたものの、その時が遂に来たか…(涙)。

伊武雅刀さんの演じる利休が登場して3ヶ月の間、私はドラマを見る度に伊武さんの利休の演技に心躍っていた。

千利休は主要な登場人物ではあるが、毎回そうそう出演場面は多くなかった。

一場面出て、一言二言しか喋らない回も多々あった。

しかし、そんな少ない出番であっても利休が出るとドラマが一気にグッと引き締まっていたと私は思っている。

 

ミーハー丸だしの感想を述べれば「あの役って、とにかく最高!ものすごくカッコ良かった!!」である。

カッコ良さはこの登場最後の回でピークを迎えていた。

 

前々からしつこく書いているが、私は伊武さんが演じた昔の「宇宙戦艦ヤマト」のデスラー総統がとびっきり好きなのだ。

今も無理を承知で伊武さんの演じる役あれこれの中にちょっとでもその面影を探したりしている変則ファンである。

そんな私にとっても今回のこの利休役は本当に久々に猛烈にしびれた!と言って良いでしょう!

 

秀吉の暴走を諫める進言をした為に切腹を命じられる利休、命乞いすることなく秀吉を担いだ自身の責任を取るかのように死をもっても苦言を呈し続けるのだった。

今までも何度かドラマで千利休を観たことがある私だが、今回の伊武さんの利休はその中でもとびきりカッコ良く一際感動的なものであったと思う。

 

秀吉が天下を手にしてそれまでとは違う奢り高ぶった様子を見せはじめ、若く見目麗しい茶々にのめり込んでいくあたりから、ドラマも俄然面白くなっていた。

若き頃の他人の進言に真摯に耳を傾け類稀れな実行力で次々に偉業を成し遂げてきた良き人物であった白い秀吉から、何もかもを手に入れて、傲慢不遜になってゆく黒い秀吉への変貌ぶりが画面から迫力満点で伝わってくる。

これはやはり秀吉を演じる竹中直人さんの演技の凄さ所以であろう。

観ていて圧巻と言いましょうか…。

 

勿論主役の岡田准一さん演じる黒田官兵衛についても私は興味深く観ている。

あの戦国乱世で官兵衛は秀吉をこの人物と見込んで支え仕えることを選択したのだ。

秀吉の卓越した人間力と官兵衛の軍事面の功績も相まって彼らは宿願であった天下取りを果した。

しかし、それまで天下平定を目的に一心不乱に働いた官兵衛にとって、それが実現されたはずの世には彼が思っていたのとは違う皮肉な結果が待っていたようである。

人は変わる。

官兵衛があれほど心酔して入れ込んだ人物の秀吉ですら。

回を重ねるごとに秀吉に対する官兵衛の複雑な気持ちが描かれ、それを観るにつけ教訓めいたものさえ感じるこの頃の展開である。

 

終盤になってうんと骨太ドラマになったような気がする。

ああ、大河ドラマってやっぱり面白いじゃない!と、このところ思っている。

ご贔屓の伊武さんの利休はもういなくなってしまったけれど、ドラマの行方も気にかかるので、これはもう最後まで観続けるしかないでしょう!と思っている私であった。                                                

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