まず、朝ドラ「あさが来た」は直球ど真ん中の私好みのドラマだ。
一般的にも朝のドラマとしては、こういう前向きな根性(?)成功物語はふさわしいと思う。
いや、そんなこと言えば前作「まれ」だってそういう要素は十分にあった。
ただ、舞台が現代で、いろいろ微妙な感情描写なども描こうとしていたので、話がストレートじゃない分、私などは観ていて朝からもやもやした気分になり、もひとつ作品に乗り切れない気もしていた。
朝の8時から観ている私にとっては、微妙な心の動きやダークな味付け演出などは重かった。
そんなのは滅入るのでいらないと思っていた。
もっとさらっと、明解な筋運びで十分なのだった。
まあ、しかし普通現代劇だとそれだけではいかないのだろう。
観てる方だって今の時代にそんなの不自然じゃないか?とか、底の浅いドラマだとか、いろいろチェックの目も厳しくなるものなのかもしれないが。
その点「あさが来た」、これは時代が明治維新ぐらいの昔なので、明快筋運びの分りやすさ第一の物語でも、筋をそのままに受け入れられるように思う。
最近テレビで時代劇を観る機会も減ったせいか、ああいう着物を着た昔の人たちが動き回っている世界がもう異世界みたいな感じもする。
ファンタジーものを観るような気分といってよいかもしれない。
「花子とアン」の時も思ったけれど、やはり今の時代と全然違うなぁ…と、そしてその様子を観るだけでも面白いなぁと思っている。
まだ、主人公が若いので、今はこういう明るく明快な作風だけど、年齢が上がるにつれて作品に妙な湿っぽさや陰部分が出てきたら嫌だなぁ…と少し心配している。
過去作だと「カーネーション」などは後半が苦手だったので…(私だけかこんなこと思ってるのは…苦笑)。
もう一つのNHKの看板ドラマである大河「花燃ゆ」のことだが、これについては書こう書こうと思いながら、もう終盤近くなってしまった。
最初、大河ドラマらしくないなぁ、金曜時代劇の枠ぽい…などと思っていた。
だって、予告とか観たら、握り飯をひたすら握って、兄の吉田松陰の塾のお手伝いをしている杉文(すぎ・ふみ)という妹さんが主役なんだもん。
地味だよね…、とても…と思いながらも、たまに観逃した回もあるが、観続けていた。
前半はやはりこの人にツッコミを入れずして誰にツッコミを入れようか!!という存在がいた。
それは寅兄(とらにい)こと主人公の文の兄の吉田松陰である。(寅次郎兄さんを略して文は寅兄と呼んでいた)
この人のあまりの無鉄砲さに、とにかく呆れた。
ほんとにあんな人だったの?…あれでは家族が気の毒だよ、思慮分別とか全然無いのか?(苦笑)
呆れながらも、回を重ねて観続けると、その度を越したブレなさにちょっと感心するようになった。
そしてテーマ曲(これがなまじいい曲なので誤魔化されてるのかもしれないけど・笑)をバックに繰り広げられる寅兄の高説に妙に感動、心打たれたりすることもしばしばあった。
ということで、私は、寅兄って仕方ない奴だけど、嫌いになれないなぁ…などと思っていた。
しかし、私よ、歴史上の高名な偉人に対して、こんな無礼な感想でいいのか!?(苦笑)
今になって思うと前半で早々といなくなってしまったが、伊勢谷友介演じる寅兄がこのドラマの中で一番好きなキャラだったかもしれないなぁと思っている(笑)。
後どうしても言いたいのが、主人公の文の夫の久坂玄瑞のこと。
理想主義者で純粋で一本気と描きたいのであろう。
が、私の印象は、とにかく融通の利かない頑固者の分からず屋の青二才というもので、全然私のタイプじゃなかった(私の好みを言ってどうする!)。
そして松下村塾の塾生たちが志の為にどんどん命を落としていくのも、必然性あるのか?といぶかしい気がしなくもなかった。
他にも、文や松蔭の母親のことも気になっていた。
きっとたいそう包容力のある母なのだろうが、松蔭がとんでもないことを次々とやらかしても、とにかく落ち着いているんだよね。
いくらなんでも、実の母親なんだから内心は動揺しているはずではないのだろうか?…だとしたら、ちょっとだけでも動揺してる場面を描かないと不自然ではないでしょうか…。
しかし、そんな彼女が後に耳の不自由な末弟の行動に対しては、ちゃんと心配していたから、もしや、寅兄のことはいろんな意味で諦めていたのだろうか?(苦笑)。
あれやこれや、どこか変な気がするけど…と思っていた私。
もしかしたら、偉い人たちも案外こんな位の人たちだったってことを描きたいのか…?(苦笑)、いやいや、話がはしょられてるのでこんな風に思えるのか?と、いろいろと私なりに解釈しようと努力しながら前半を観続けたのだった。
そしてこの物語は中盤で、視聴率で苦戦しているのが影響したのだろうか?と私に邪推されるような展開をみせる。
ミニ大奥編みたいのが突然始まったのだった。
それなりに面白く観たけど、前後の展開からすると、この部分って取って付けたようなとても唐突な感じでしたよ。
最近では、ミニ大奥編も終わり、「美和」(元の文です)は姉夫婦と共に群馬に移り住むことになったのであった。
ちなみに、文って、ミニ大奥編から美和って名前に変わっているのだった。
そして、もう一人、準主役ポジの義理の兄(後に美和の夫となる)小田村伊之助も途中で名前が変わって楫取素彦(かとりもとひこ)となっている。
史実だからしょうがないのだろうが、主要な人の名前がコロコロ変わって落ち着かない感じである。
さて、いよいよ終盤のこの「群馬」編ともなると、物語の方はだんだん落ち着いた作風になってきたというか、以前よりは面白くなったのではと私は思っている。
印象に残っているのは、長州で起こった「萩の乱」に関わったことで、美和の叔父が自害してしまうのだが、ここは結構見応えがあった。
この叔父さん(玉木文之進)は、もの凄いスパルタ叔父さんで、松下村塾を開いた人である。
寅兄も子供の頃の描写で虐待手前な程しごかれてたし、美和も女の子なのにすっ飛ぶ位の勢いの凄いビンタくらってたこともあったっけ。
そういう昔ながらの武士の中の武士みたいな人だったのだ。
新しい時代の夜明けに乗れなかった前時代の象徴のような叔父さんは遅かれ早かれこういう道しかなかったのだろう。
そのあたりの事情が短い場面であったが。観ていて実感できるように描かれていた。
そしてこの叔父さんを演じる奥田英二さんが上手いなぁ!とあらためて思った私だった。
こんな風な落ち着いた重々しい演出部分が前半にもあったら良かったのにと思う。
「花燃ゆ」、前半で妙に早足で時代を描いていたせいで、私が、前述した歴史上の偉人の皆さんを単なる「変な人」たちと認識してしまったことに対する責任は重いよ(苦笑)。
しかし、終盤になっても相変わらず主人公の美和はやはりどこか傍観者みたいな立ち位置で、作品としては地味な感じが拭えない。
握り飯握ったり、家のお手伝いしたり、ちょっとどこかへお使いに行ったりだけじゃ、活躍の場面はなかなか作れないよね…仕方ないのか。
年末に観終わる頃にはもうちょっと違う印象になっているのだろうか?
結構厳しいツッコミも入れましたが、ちゃんと終わりを見定めたいと思っているのだった。
だって、飽きっぽい私が長いこと観続けているということは、ツッコミながらも嫌いじゃないってことですよ!(笑)
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