テレビ朝日の日曜日朝の特撮枠で今年放映されている戦隊ものである。
この枠は我が家の子供が幼い頃に見始めてからの付き合いなので、20年以上は観ている。
とはいえ私は大人だし、いつもそんなに全力で観てはいない(笑)。
半ば惰性で番組をチェック、タイトルぐらいしか認識していないということも多い。
ここ近年はさほど心動く作品になかなか出会えないと思っていたが、私にとってこの作品は久々に「大アタリ」である。
物語の概要は大快盗アルセーヌ・ルパンの集めた宝物「ルパンコレクション」を奪った異世界の犯罪者集団ギャングラーが手に入れた宝物の力を使って人間界で悪事をはたらいている。
奪われたコレクションを取り戻そうとしているのが、アルセーヌ・ルパンの流れを引く快盗ルパンレンジャー。
コレクションの回収とギャングラーの取り締まりをしているのが警察組織のパトレンジャーである。
パトレンジャーにとってルパンレンジャーはギャングラー同様取り締まる対象なので(快盗だから?)、この両者は一応は敵対関係にある。
この「ルパパト」(略してこう書きます)初回観た時には全然心惹かれる感じはしなかったのだが、4話目ぐらいになるとすっかりお気に入りになっていた。
どのあたりが気に入っているかを書く。
その1
戦隊が2つあることで、戦隊同士の対立、探り合いもあり、いつもの対悪者集団と戦闘だけの構図よりバリエーションに富んだ物語展開である。
ルパンレンジャーはパトレンジャーの正体を知っているが、パトレンジャーの方はルパンレンジャーの正体を知らない。
知らないがゆえに両陣営は私的にとても親しい間柄になっている。(警察の皆がルパンレンジャー側がやっているレストランの常連さんだったり)
折々にパトレンジャー側がルパンレンジャーの正体に気づきそうでなかなか気づかないというシチュエーションがコミカルに描かれる。
コミカルだけれど正体がバレたら…というドキドキ感もあり、これが結構いいバランスで面白いのである。
でも私、最初観た時は戦隊が2つ?…、2つもいるか?話が中途半端になるだけじゃない?と思っていた。
いやはや大間違いでした。
その2
登場人物全員がキャラ立ちしている!!
それぞれの人物に被ることのないキャラクター設定がされていて、演じている人も役柄にピッタリのイメージに演じている。
本当にどの人物も実にいい味だしているのである。
中でも私の一番のご贔屓はパトレンジャーのレッドの人、朝加圭一郎である。
不器用なくらい真っ直ぐな正義感あふれる警察官である。
熱血で、真面目そのもの、いや、もっとスゴイかも…。
熱すぎるし、融通も全然利かない堅物である(笑)。
観ていてそのキャラクターが実によく伝わってくる熱演だ。
そしてちょっと失礼なことを書くが、圭一郎の見た目にも私がウケている要因の一つがある。
前髪が眉の辺りで真っ直ぐめにカットされていて、そのせいで力強い眉がやけに強調されている。
真面目さを表現するためにこの髪型が選ばれたのだろうか…、どうよこれ…?
俳優さんの本来のカッコよさを台無しにするような髪型であると私は思う。
ヒーロー役だから、本人もカッコよく見せたいと思うのが普通だと思うが、そんなことは気にもせず、この髪型で顔芸?というぐらいの表情豊かな熱演を毎回見せてくれる圭一郎。
コミカルな場面はもとより、シリアスな場面でも圭一郎の顔を見ているとちょっと笑ってしまう私だ。
特にウケを狙っての演技ではなく、真摯な演技が自然とウケを運んでくるというのが素晴らしいではないか。
圭一郎のものすごく真面目なのにちょっと笑える存在感は作品全体にもシリアスになりすぎない実に良い雰囲気を与えているのだ。
圭一郎について熱く語ってしまったが、他の人のこともちょっと書く。
パトレンジャーの陽川咲也は底抜けに人が好い。
役割的に愛すべきお間抜けキャラである。
3枚目をドタバタと演じずに控えめでありながら自然体におバカさをかもしているところが良い。(にじみ出るお間抜け感!)
圭一郎もそうだが、咲也が画面の端に映っているだけで心がホッこりして、そしてちょっと笑えるのだ。
ビジュアル面では咲也の髭剃り跡がなんだかいつも気になっている。
咲也のことは、圭一郎の次に私のご贔屓である。
同じく明神つかさは女子だが誰よりも男らしいしカッコいい。
女性だけど「アニキ」的な存在感のある人。
それでいてぬいぐるみのようなかわいいものに目がないという。
この設定がミスマッチでありながら好感度上昇のチャームポイントである。
おそらく仕事は3人の中で一番できるかも…(笑)。
ルパンレンジャー側のレッド、夜野魁利は物凄く派手なビジュアルの人!
画面に映るだけでオーラがある!
金髪に近いぐらいの髪の色がとても似合ってるんですよね。(こんなにこの色が似合う日本人は少ないと思う!)
画面に出る度にその美しいお顔に見入ってしまっている私(笑)。
ただ最初の頃、台詞が棒読みなのが気になったが、今はもう全然大丈夫である。
宵町透真は常に冷静でクールな役割である。
時たまギャグ要員になることもあるが、常日頃が超クールな分、ものすごく面白い!!
そしてこの人の何よりの利点は「声」。
低くてとてもいい声なのである。
いつも聞きほれてしまう。
もちろん、見た目もスッキリした美男なので俳優としてもいいのだが、声だけの仕事も十分できそうな感じである。
早見初実花は、よい意味で普通にかわいい女子。
この物語の中で視聴者が一番感情移入できる人物は彼女ではないだろうか。
他の人物は結構個性的すぎるようなキャラであると思う。
私はいつも安心できる彼女目線で作品を観てます(笑)。
ルパンレンジャー側であり、パトレンジャー側でもあるフランスから来た高尾ノエル。
スーツアクターさんよりアクションはスゴイかもと思わせるような並外れた身体能力の人。
物言いはキザです(笑)。
素性が謎めいていて、つかみどころがない言動からルパパト双方から胡散臭く思われていたようだが、最近(年末になって)人間じゃないという事実が判明した!
これには私もちょっとビックリした!
出てくると毎回思わず見入っているかも、ノエル…、私は結構ファンになっているかもしれない。
ノエルのやけに明瞭な喋り方がいつも気になる私です、「オーララ」も!(笑)
ルパンの執事のコグレさん、ルパンレンジャーの3人をスカウトした人である。
それも彼らの弱みに付け込んでといってもいいような形で…。
折々に含みをもった物言いをしているので、隠し事があるだろうというのは視聴者はみんな思っている。
それに変装(変身といってもいいような精度の)ができるんですよね…、そうだとしたら誰であってもおかしくないかも…。
そういう目で見ていると、ますます謎めいて、なんだか一番怪しい人のような気がする(笑)。
その3
この作品は物語の核心部分をはっきりと分からせないまま終盤までひっぱっていることが効いている。
私は観続けるうちに、「あれ?どうしてだろう?」という疑問がいろいろ出てきて、それについてはっきり答えが示されないことで、勝手に頭の中で考えを巡らせていた。
どうしてギャングラーたちにあんな金庫が身体についていて、ルパンコレクションを入れると力を発揮できるのか?
アルセーヌ・ルパン側の執事コグレさんの目的?ノエルの素性?
魁利、透真、初美花の大切な人たちを消滅させたギャングラーのザミーゴの思惑は?
(ザミーゴって一筋縄ではいかない、よくわからない敵キャラである)
もう終盤も終盤なので、明確になった事実もいくつかあるが、まだまだ分からないことも多い。
来年1月中には終わるので、ここからは毎回見逃すことなく観なければ!
その4
主題歌が良い!
のびやかで、華やかで派手な盛り上がりのある主題歌で、勿論とびっきりカッコイイ。
メロディラインもはっきりしているので、昭和世代の私でもOKです。
曲調が哀愁を帯びるようなような部分もあり、華やかさだけでなく切ない気持ちにさせてくれるところも又素敵である。
男女のデュエット曲で、交代に歌っているのではなく、男女で違う歌詞を重ねるように歌っている。
声が重なり、又追いかけるように歌い上げられ、一人で歌うより格段に良いと思う。
デュエット曲ってこんなに素晴らしいんだ!とあらためて感心した私。
歴代の戦隊ものの中で主題歌でも私はこれが一番好きな曲かも。
名曲です!
以上、長々と書きましたが、とにかく私は「ルパパト」が、この近年で一番面白いと思います!
もっと早く書こうと思いながらこんな押し詰まった年末に書いてます。(苦笑)