4・「さらば宇宙戦艦ヤマト・愛の戦士たち」を35年ぶりに観て

 

当時高校生だった私は映画館へこの映画を見に行って号泣したと書いたが、以来35年の間、一度も見返したことがなかった。

気持ちがヤマトから遠く離れてしまっていたこともあっただろうが、ヤマト熱が戻った今、さあ、昔の作品を見返してみようと思い立った時、レンタル店で私は、なぜかこれを借りるのを躊躇していた。

迷った挙句、結局思い切って借りて観た。

そして、分かったことは、この映画、私にとって、ある意味軽いトラウマになっていたんだということ。

 

今観ても面白かった。

絵もなかなかきれいだし、話もちゃんとまとまっている。

なので十分満足のいくものであったが、とにかく泣けてきて困った。

家族のいるところで一緒に観ていた。

途中いろいろツッコミ入れながら観ていたのに、中盤にはデスラー総統がお亡くなりになるし、真田さん、斉藤をはじめ、山本、加藤、森雪ちゃんと、とにかく次々死んでいく。

佐渡先生や猫のミー君や、徳川さんという、年配組までも。

 

ああ、もう、ツッコミ入れてるどころじゃないぞ。

私の心はみるみる純真だった高校生のあの頃に引き戻されていった。

 

今回、私が一番泣かされた場面は森雪ちゃんが、亡くなるところだった。

昔はそうでもなかったけれど、大人になった目で見ると、雪ちゃんっていい娘だなぁと、つくづく思う。

おしとやかで、包容力があって、それでいて芯はしっかりしてる、仕事もきっちりこなしそうだ。

人としても女性としてもなかなか素晴らしい。

昔は、そういうのがちょっと鼻についたりしてたのだが、今見ると、こんな娘なかなかいないよね!と素直に好感をもっている。

 

物語の最後は古代君と死んだ雪ちゃんが彗星帝国の戦艦にテレサと共に突っ込んじゃうし…、特攻だよ…。

 

テレサって、古代君が突っ込むと決心しなかったら来なかったのだろうか?

どこかで、様子を伺っていたのだろうか?さあ、行くぞという時に急に姿を現したから…。

テレサは反物質なので、一人で行っても彗星帝国滅ぼせたはずなのだが、(ヤマト2では一人で行ってくれたらしいが…)、ずっとそうはしなかったようだ。

誰かが特攻するのを長年待ってたとか…、だったら怖いような。

 

いや、なんだか意味深だ。やらねばならない時は自らがやらねばならない、腹を据えた決断と行動のないところにはなんの解決もないというような教訓を読み取るべきか…。

 

それでもって、最後の最後で、沢田研二の歌う主題歌が流れてくるし。

あーっ!もし一人でこれ観てたらどんだけ泣かされたかわからん!

 

私がヤマトから離れたのは、もしかしたら、あの時すごく悲しかったから、悲しすぎて離れたんじゃないか。

いくら映画がよく出来ているからって、これは死にすぎではないか…?

あんなに死んだら、観てる方が落ち込む。

特に一作目のファンなら、好きな登場人物たちが次から次へとバタバタ死ぬのにショックを受けないわけはない。

感受性の強い世代だったらなおさらだ。

もう、当時の記憶は曖昧で、はっきりしたことが思い出せないのだけど、やはり、私がヤマトから離れたのは、この映画のショックのせいもあったのではないのか?

 

いい大人になってる今でさえ、今後もう一回観るのもちょっと怖いような気がするくらいだ。

とは言っても、泣かされながらも、十分楽しんだことは楽しんだのだが。

好きだけど、近寄りたくないような作品かもしれない(笑)。

 

ちなみに、この作品でのデスラー総統は、テレビ作品1作目とはちょっと違うキャラクターになっている。

寄るべき母星も今はなく、同胞も部下のタラン将軍だけしかいない。

一作目でヤマトに敗れた後、彗星帝国に拾われたという設定なので、彗星帝国内では肩身が狭そうな雰囲気が漂っていた。

 

ずっとガミラスの総統として飛ぶ鳥も落とすような勢いでやってきて、そこから大敗北、そしてこの寄る辺もないような境遇にと、盛者必衰、諸行無常と平家物語の言葉すら思い浮かぶようではないか。

それでも精一杯誇り高く振舞おうとしてらっしゃるお姿に心を打たれた私であった。

しかも、そんな境遇でありながら、なおヤマトに対しての復讐の戦いを決して諦めていない。

執念深いというか、戦いの中にこそ生きる意味を感じるタイプの人というか…、とにかく熱き心の不屈の人である。

 

私、こういうプライドの高いキャラクターが鼻っ柱折られて…という話が結構好きなのだが、中には傷心してめげてしまうというのもままある。

そうでなくて、あくまでも前向きで、やる気満々なところがデスラー総統のいいところ。

 

いよいよ万策尽きた、もう死の覚悟決めたという場面で唯一の部下タランに「タラン…、今日までよく私について来てくれた…」とねぎらいの言葉をかけるところが好き。

ずっと冷酷で傲岸不遜なだけの人かと思っていたけど、ちゃんと部下を思いやるところもある人だったんだね、そうじゃなきゃ、ガミラスの臣民も一丸となってついて来はしなかっただろうしねと思った。

 

それと、も一つお気に入りのシーンは、総統が、古代とまともに戦えないような負傷してて、それを雪ちゃんが介抱しようとすると、もういいんだ…みたいな感じでソフトに制するところがあるのだが、これがとても紳士的で、当時も今も見てしびれた!

あんなに好戦的なのに女にはやけに優しそうである。

とはいっても助平そうというのではなくあくまでも紳士的にだ。私にはそう見える(でも、もしかしたらむっつり助平だったらどうしよう・笑)。

女子供は戦いの相手にはせん!というような感じだろうか。

 

結局、又ヤマトに敗れて、この映画版ではお亡くなりになるのだが、一作目と違ってカッコよい最期になっていたので、私としてはものすごく悲しかったけれど、これはこれで良かったかな。

しかし、総統、自発的宇宙葬というか、ご遺体が宇宙空間をずっと流れていくのが延々と映されていたので、見ていておいたわしかった。

なんか、ほんと長々と映されていたような気がするんですけど…長いよ(涙)。

 

この作品、見たあとはうんと気が滅入ったので、今度は、まだ見ぬ、死亡者がうんと少ないヤマト2を見て、うち沈んだ気持ちを立て直そうと思っている。

 

 

5・「さらば宇宙戦艦ヤマト」の主題歌「ヤマトより愛をこめて」について

 

ずっと観ていなかった「さらば…」のDVDを観て、最後に沢田研二が歌う主題歌を聴いた後、沢田研二ってこんなに歌上手かったんだ!と今頃認識した。

天下のジュリーに対して失礼な奴である…(苦笑)。

当時、沢田研二はとても人気のある歌手であったが、私はあまり好きではなかった。子供だったから?ちょっと好みのタイプじゃなかったとか…?

勿論この歌自体は当時も好きであったが、今聴いてみると、とてもいい!

この歌の良さが、当時よりもうんと分かる気がした。

歌詞もメロディーも心に染み入るようだ。昭和の歌っぽいところも落ち着く。

特に歌詞がいいなぁとしみじみ思っている。

それにジュリーの歌声が今は素直にすばらしい、素敵だと思える。私の感想としては絶賛に近い。 

ほんと、聴くと又泣けてくるぐらいに。

 

私ってやっぱり昭和の人だったんだとこの頃思うようになった。

ずっと昭和を生きてきたくせに、昭和を小バカにしていたところがあった。

ちょっと泥臭くて、ガツガツしてて、ちっともスマートじゃないと卑下していたかもしれない。

しかし、私の人生で平成も昭和とちょうど同じ位の年月の長さが過ぎた今、平成だって、そんなにカッコよくもなければいいとこだらけでもない。

まあ今、昭和に戻れといわれたら、それは絶対お断りしますが…、あの、まだまだ不便なこともうんと多かった子供の頃を思い出すと、そりゃ今の方が便利でいいもの。

けれど、今になって昭和のアニメに惹かれて、昭和っぽい歌に感じ入っているところをみると、やはり私を育てた時代は昭和だった。

少なくとも今よりは骨太な時代だったかもしれないなぁ…とちょっと感傷的になっている。

ということで、このところ家事をしながらこの歌「ヤマトより愛をこめて」をよく口づさんでいる。

 

 

6・「好敵手」という歌について

 

「ヤマトより愛をこめて」のことを書いたので、歌つながりで思い出したのがデスラー総統の為の歌「好敵手」のこと。

実はこのレコードを、当時の私は買っていた(笑)。

あの頃、買って聴いてみて、ちょっと複雑な心持だった。

 

全体的に男っぽい歌だったよね…、ウーン、サビ部分に「炎の中にサムライを見た、デスラーそれはお前だった」って歌われてるんですよ。

女子高校生としては、総統…サムライなのか?!と違和感あったような。

だって見た目外人ぽいし、もろ金髪だし、髪型とかローマ皇帝みたいだし…、今思うと、よく総統のことを武人とか漢とか評して書かれてるからそういう意味での侍なのであろうか…。

しかし私としては着流しの着物姿で脇差をさした刺客みたいなのを当時連想してたと思う。

デスラー総統のそういうお姿を想像すると、やはりすごく違和感ある、変だよねと(笑)。

 

2番の歌詞も「さだめが少し変わっていたら互いに酒も飲んでたはずだ」とあるので、日本酒熱燗とか…古代君と二人でさしつさされつとか…?、いろいろ考えていたような気がする。

こういう邪念が頭をよぎり、なかなかこの歌の良さもわかっていなかったのだが、今聴くと、これはこれで名曲じゃん!と思う。

でも、歌詞は今でもちょっと男っぽすぎて…という気もしなくはないが…。

「さらば…」の総統って、そのお心、言動に古風な日本人みたいな和テイストが少し入ってるから歌詞の方もまあ合ってるのかもしれない。

その男っぽい歌詞も個性的といえば個性的だし(なんとか良い方に解釈しようとしている)。

 

それでもって楽曲だけの演奏を聴くとすごくいい曲。

トランペットの音とか響くと、胸が騒ぐ。

ああ、デスラー総統カッコいいぞーっという気になる。

曲だけだともろ手をあげて素直にいい曲といえるところをみると、やはりひっかかってるのは歌詞なのだろうか(笑)。

 

このように称賛の文を書こうとしながらも、書き進めるうちに、いや…、でも、待てよ、なんかちょっと変かもしれんなぁという気持ちがもくもく湧き上がってくるのを止められない。

やはりこれは私にとっては一筋縄ではいかぬ歌です。でも、好きですよ(笑)。

 

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