26.スターシャはデスラー総統をどう思っていたのか
これは「生きていたのですか」と「あのデスラーが」という言葉からすると、全然気にかけていなかったと言っていいだろう。
まず一作目で、ヤマトがイスカンダルに来た時点でスターシャは総統は死亡したと思ったはずだ。
「私が生きている限りヤマトをイスカンダルへ行かせはしませんよ」とホットラインで言い切っていた総統だもの。
スターシャはあの時も心痛めているようには見えなかった。
その後も総統のことは全然気にせず守とラブラブで暮らしていたと思われる。
その上「あのデスラーが」発言である。
あの何々という場合、何々の部分は、どうしようもない奴、ろくでもない奴みたいなものがくるはずである。
スターシャは総統のこと、隣の困ったさんと思っていたんだと察せられる。
では「新たなる…」でスターシャにとって総統はずっとどうしようもない奴のままだったのか?
私はこれについて、どうなんだろう…?と正直今も少し思案中なのだが、わが身の危険も顧みず、イスカンダルをしつこく追いかけてくるし、隣の友人として助けたいんだとスターシャが用心しないように言葉を選びながら何度も必死に説得しようとするし、「あのデスラーが」の言葉の後には、いいトコあるじゃない、ちょっと見直したかもという気持ちが続くはずである。
そして決死の覚悟で相手に突っ込んで「波動砲で私ごと撃て!」「わかってほしい、私はスターシャを愛しているのだよ」と大告白である。
スターシャ、きっと困ったと思う。
身近な例で考えてみて、隣に住んでた顔見知りではあるが、あまりいい印象を持っていない人にある日突然、公衆の面前で夫と一緒にいる時に大告白されたらどうだろう?
困惑すると思う(苦笑)。
でもスターシャがイスカンダルを離れヤマトに乗ると言ったのは確実にデスラー総統を死なせないためだった。
総統の命を助けるためだった。
あの発言なしだと、古代は波動砲を撃ってただろうから。
スターシャは元々、死んでも何してでもイスカンダルを離れて生きるなんて事は、これっぽっちも考えていなかったと思われるから、あの状況では自爆で星と共に死ぬという選択以外なかっただろう。
スターシャはとにかく物凄く頑固な女なのだ。
イスカンダル星の化身みたいな感じで、冒しがたい精神を持ち、総統が望んでも絶対手に入れられない女性であることが分かっているからこそ、総統も惹かれているんだと思う。
総統、ずーと前に、守さんが来るはるか前にスターシャにもっと本気で求婚したら、ちょっとでも振り向いてもらえたかな?
いや、やはりそれも無理な気はする。
スターシャが、総統に、危険なのにどうして星を離れてくれないんだ!と懇願された時に、あなたなら分かるでしょう、星を離れたくない私の気持ちが、という意味のことを総統に言っていた。
仲良しではなかったかもしれないが、双子星のトップ同士として長年過ごした二人は同じように自分の星と隣の星を愛していたのだろう。
そういう意味では、思想は相容れなかったが二人は一番分かり合える間柄だったのかもしれない。
星に対する愛情については、守よりもデスラー総統と分かり合えるとスターシャは思っていたと思う。
スターシャは波動砲を止めた時点で、ちょっと、ほんのちょっぴり、総統のこと異性としても好きだと思ってくれていたように思う。
きっと、それまでそんなことはなかったけど、死ぬ前にちょっとでも好きになってもらえたってことで、総統も少しだけ報われたかな(涙)。
27.デスラー総統の愛の大告白のこと
総統の愛の大告白は、いろいろあるアニメ史上でも、えらくスケールの大きな超恥ずかしい告白である。
本人も、まさかあんな告白を自分がしようとは思っていなかったはずである。
暴走するイスカンダルを追いかけるうちに、総統はどんどん気付かなかった自分の気持ちに気付き始め、内心混乱していたのではないか。
しかし、前述したように、スターシャが守と結婚しているようだということは、通信の時に見て分かっていたと思う。
心中いかばかりであったろう。
結婚しちゃったのか、残念だなぁ、だろうか、それとも自分が結婚したいなどという欲求を超えてスターシャを大切にしたいという大きな愛情を感じているのだろうか。
とにかくイスカンダルから脱出させようと説得に必死の総統。
スターシャと守は総統の気持ちをよそに、やけにイチャイチャしている。
総統が古代を呼んだのも、自分の呼びかけでは到底無理かもしれないので、古代ならなんとか説得できるかもしれないという可能性に賭けたのかもしれない。
いよいよ絶体絶命、スターシャの命が風前のともし火になった時、総統は我を忘れて、敵の移動要塞の砲口に突撃する。
そのまま自分ごと波動砲で撃つように古代に叫ぶ。
躊躇する古代に「わかってほしい、私はスターシャを愛しているのだよ」とモニター大スクリーン写しで大激白だ。
ヤマトの乗員皆も聞いているし、暗黒星団のメルダーズも聞いている。
勿論、スターシャも守も。きっとガミラスの兵士たちも聞いちゃったと思う。
皆、無言である。
えーっ!!?という驚きと共に、気詰まりな雰囲気も。
こんなこと皆の前で言い放ったのに、その後スターシャの言葉で梯子外された形になって、かっこよく好きな女の為に死ぬということもままならなくなる。
おまけにスターシャはデスラー総統の命を救う形で星と共に自爆してしまう。
総統は命がけで守りたかったスターシャもイスカンダル星も一気に失ってしまう。暗黒星団の移動要塞のゴルバも爆発で消滅してしまってこれはめでたしめでたしだが、総統の心痛はいかばかりか。
考えるだけでも気の毒である。
総統はスターシャを自分のものにしてどうこうしようとは全然思っていなかった。
イスカンダルを離れることなくイスカンダルと共に生きる彼女がそこで平和に暮らしてゆくことが総統にとっても望みだった。
イスカンダルに住めなくなったとしたら、せめて彼女が選んだ最愛の男と共に、そこが地球であっても良いから、幸せに暮らしてほしいと願っていた。
スターシャに対して無私の愛を捧げていたのだ。
あんな好戦的で冷徹そうなのに恋愛は何の駆け引きもなく純粋で不器用すぎるではないか。
まるで穢れのない中学生が抱くような無垢な恋である。
無償の愛である。
まさに男の純情ここに見た!であった。
ばかだなぁと思いながら、ばかだと思うぐらい純粋じゃないと人は心を打たれない。
功利の見え隠れする行動には心は動かされないものである。
いつもの総統キャラとの落差が大きかった分、私的には相当、萌えました。
でも、これがスターシャとラブラブになっちゃったとかだったら、すごーく嫌だったかも(笑)。
あくまでも総統は失恋してもらわないと。
みのらぬ恋と分かっていて命をかけるというのがいいのよね(総統ファンと言いながら、私の心は鬼である・笑)。
28.デスラー総統の部下たち
総統とガミラス残存兵の皆は宇宙を流浪していた。
総統が演説しているのを集まって聞いている兵を見ると男ばかりである。
他の艦ももしかしたら男ばかりだろうか?なんかむさ苦しい感じである。
この「新たなる…」で暗黒星団側との戦いによって残存した艦もいっぱい沈んでしまう。
犬死ではと思うような決死の攻撃を仕掛けているものもいる。
イスカンダルが暴走しはじめてから総統が追いかけろー!と命を下して、皆で追いかけるのだが、皆の心中はどうだったのだろう。
総統が行くと言ったら皆従わなきゃと思っているんだろうか。
ガミラス星も目の前で四散してしまったのだから、彼らは母星もなく、行くあても定かでないという、まさしく寄る辺のない心細い状況である。
もう頼るべきは指導者たる総統だけだという気持ちも強くなっていたのではないか。
総統自身も常になくいろいろ動揺していたので大変だ。
私が兵士の方々にインタビューしたわけではないので(当たり前だ)断言は出来ないが、「新たなる…」での総統に従ってあなたは後悔しましたか?と聞いたら、「いいえ」と答える人がまあまあの数いそうな気がする。
総統、あんなだけど(どんなだ?笑)日頃、本当にガミラス再興の為に心を砕いていそうである。
私欲に走らず、とにかく真っ直ぐやってそうである。
皆もそれを見ているので、あの総統が言うなら、俺たちも!!みたいな気になっていると思われる。
きっと衝撃の大告白の時も、戦闘空母内の兵士たちはびっくりしたけど、総統がそれほど思っていたとは…、よし、我等も覚悟決めたもんね!のような感じであったかもしれないと勝手に想像する私である。
ガミラスの人たちって、純粋な感じ…、それってちょっと、ある意味怖いんだけどね(笑)。
29.メルダーズのこと
暗黒星団側の悪役です。
暗黒星団の人たちは、皆つるッぱげである。
眉もない、眼の周りは黒々と縁取りされたようになっている。
服も着てるの?って感じの彼らの肌の色と同色(青灰色)の超ぴったりの服を着ているようである。
なんか裸っぽいんですけど…。
全体的に見るとプロレスラーのトランクス姿みたいに見える。(長いタイツではなくオーソドックスなトランクス派、アントニオ猪木みたいな感じのやつです)
ガミラス人は肌が青いだけで、地球人と変わらないから感情移入もし易いけど、暗黒星団の人はイヤだなぁ…(笑)。
「新たなる…」でのラスボスにあたるのはメルダーズである。
彼の上のグレートエンペラーは声だけ出てくるけど、彼は次作「ヤマトよ永遠に」のラスボスなので。
メルダーズの物言いは大そう癇にさわる。
移動要塞である自動惑星ゴルバが強固で無敵なのは分かるが、それを盾にして憎ったらしい物言いをする奴なのである。
総統が伝家の宝刀、デスラー砲を撃った際も、「そんな石ころのようなエネルギー弾がこのゴルバに通用すると思っているのか」とのたまわった。
石ころである…、まあ、全然効かなかったので、視聴者も妙に納得してしまったのだが…。
総統、このデスラー砲を撃つ時に、興奮、動揺していたのか、「デスラー発射!」と言っていた。
いつも「デスラー砲発射!」だったよね…、デスラー発射って、総統自身がゴルバに向かって飛んで行ってしまいそう。
それとも、本日デスラー砲の射手を努めさせて頂きまするは、この私デスラーであります!といった自己紹介のような気もする…。
メルダーズにあんな傷つく言葉を吐かれて、あの滅法プライドの高い総統の心中はいかばかりであろうか。
屈辱ではらわた煮えくり返ってたよね、きっと。
そして、メルダーズの大笑い、ずっと長ーく笑ってるの。
ちょっと笑いすぎだろ、あんた。
悪役ってどうしてこう大笑いするのだろう。
ズォーダー大帝も笑いまくってたよね。
総統も時々笑ってるよね。
バカにしてるもんね、私の力って強大でしょ、君達全然かなわないだろ、どうだ怖ろしいだろ?みたいな表現としての笑いだろうと思うが、たまに、そんなに笑い続けなくても…と思うこともある。
メルダーズも笑いすぎ、大帝も笑いすぎだったなぁ(笑)。
ものには程度あるからね。
あんまり笑い続けると、恐怖を与えるを超えて、視聴者もなにやら一緒に笑えてくるような気がするのは私だけか?
メルダーズはゴルバの砲口に突っ込んだ総統を愚か者呼ばわりするし(視聴者が心中思ってることを言葉にしているようにも思えるけど・笑)、とにかく許せん奴なのだが、当然ツッコミ所のあの愛の大告白の時は何故か沈黙していてくれた。
メルダーズにしても、こいつ、公衆の面前で何を言うのだ?!とあっけにとられたのか。
嫌味爆裂キャラのメルダーズさへも呆然とさせ、沈黙に陥れる、総統の愛の告白の衝撃はやはり超弩級ということだろうか。
メルダーズがイスカンダルの自爆で、一緒に吹き飛んだときは、ちょっとスッキリした。
やっつけられてカタルシス与えてくれたということは、メルダーズは悪役としては上出来だったといえるだろう。
それにしても憎らしい奴だったなぁ。