29.「宇宙戦艦ヤマト・復活編」を観て

 

私は「ヤマト復活編」が好きである。

一作目は別格として(このことについては他の作品を観る度に余計確信となってゆくのであるが)、シリーズ他の作品のどれよりも復活編が面白かった。

 

今まで散々他の星から狙われ続けて、何度も地球外に移住を考えさせれてきた地球であったが、ここでは遂に本当に移住しなくてはならなくなっていた。

それも移住先の相手側が諸手を上げて歓迎してくれているというわけではない状況でだ。

移動するカスケードブラックホールが間もなく地球を飲み込もうとしているらしい。

 

ヤマトの主人公の古代進は雪と結婚して美雪という一人娘をもうけているようであるが、古代は3年程、貨物運搬船に乗ったまま地球には戻ってはおらず、娘の美雪の言葉などからすると必ずしも円満な家庭ではないような印象も受ける。

地球の置かれた状況も大変困難なものであるし、古代自身もそれなりに悩みを抱えているようなのだ。

なので、物語の初め部分は観ていて結構重い気持ちにさせられる。

まあ、私も大人なので、38歳になった古代が昔の熱血君のままだと、それはもうついて行けなかったと思うので、このくらいの始まりテンションはむしろ歓迎であった。

 

そして物語の骨格は割と単純。

地球の相手の敵は異次元にいる人間とは形状の異なった生命体で(作中では一応人間のような姿に化けている?、人間型宇宙人に乗り移っている?)SUS国を名乗っている。

絶大な力を持ち、こちら側の天の川銀河の中心部の星間国家を束ねて連合を作っているようだ。

彼らはこちらの世界の物、人を資源として搾取するのが目的のようである。

そして何故か地球がアマールの衛星に移住することが許せないらしいのだ。(何故?と思う私)

実質、SUSの独断を連合の協議の結果として押し通す形で連合全体で攻撃をしかけてくるという理不尽さ。

しかし、連合に入っている星々も一枚岩ではなく、圧制に反感を持っている者もいることが、戦闘の中で見えてくる。

 

戦闘シーンはなかなか迫力があって面白かった。

最初CGぽさに少し違和感があったのだが、見続けているともうあまり気にならなくなった。(順応し易い奴である・笑)

 

この復活編1部では敵の先鋒にあたるSUSのメッツラー総督らとの戦いに一応辛くも勝利して、地球のアマール星の衛星への移住がなんとか出来そうだというところで終わっていた。

 

私が一番、感動したのは古代が最後の移民船団の出立を見届けて地球を見る場面であった。(又、泣いたよ…私…)

地球が間もなくカスケードブラックホールに飲み込まれようとする前、地球でサバンナに動物たちが集まり、終わりの時を迎えようとしていた。

古代はモノローグで語る。

「人間は今一番大切なものを失おうとしている。この時になって初めてそのことに気づいた。これまで人間は地球に対して、奪い壊し、荒らし、作り替え、万物の霊長などと思い上がってきた。」

「巨大な宇宙のスケールからすればとるに足りない災害から、地球を救ってやることも出来ない。無力なものだ。結局俺たちは負けたのだ。新しい移住地というのはやり直しのチャンスを与えられたにすぎないのだ。」と。

 

人の守るべきものとは「安住できる地」ではないのかと、強く感じさせられた。

思えば、一作目もガミラスがどうしても欲しかったのは、安住できる地であり、それが地球という星であった。

ヤマトのシリーズって最初からいつも、安住の地を求める者たちの物語だったのではなかったか?

暗黒星団帝国もディンギルも攻撃をして得ようとしていたのは安住できる地であった。

「ヤマトⅢ」でもあの時、地球人は安住の地、移住できる星を必死に探して旅をしていたのだ。

ずっと安住の地として人類を育んでいてくれた地球、それを手をこまねいて見送るしかない古代と私たちは一緒に痛切な思いにとらわれる。

 

地球を失いそうになったことも何度もあったが、最後は大丈夫、だって私たちの地球だもん!と思っていたのが、今度は本当に無くしてしまうことになるとは…、それがこんなに心細いことだったとは…。

自分が普段、地球についてあまり考えていなかったせいか、復活編で与えられたこの心の動揺は私にとって結構衝撃だった。

いつもヤマトで語られる「愛」よりもずっと、地球を失うということの悲しみが心に響いたのだった。

 

繰り広げられた戦いの中、古代は大人の男になっており、昔、沖田がそうであったように、彼の指揮には迷いが無く、毅然とした重みがでていた。

エトス軍のゴルイ提督、アマール星のパスカル将軍、ヤマトの副艦長大村の死もどれも誇りに満ちたものであった。

 

全体的に話の流れも破綻なくまとまっており、物語進行のテンポもよく、私は十分楽しめた。

無事に地球の人々の移住は出来たようだが、この後の展開が非常に気になる私である。

是非2部も制作して欲しいと熱望している。

 

 

30.復活編ディレクターズカット版について

 

前半は、さほど変わったようには思わなかった。

私は元々、音に対して敏感ではないので効果音が変わったとか、音楽が変わったとかは一度や二度、観ただけではあまり分からない。(悲しいことです…これって・苦笑)

ただ、SUSのハイパーニュートロンビーム砲の攻撃が行われる場面のクラシック音楽が無くなっていたのは分かった。

2009年版の方が荘厳な感じがして恐怖感があったかもと思う。

 

航海途中に上条、小林らが、医務室で話したり、故、加藤の制服を小林が古代からもらったりなどの描写が加えられたので、乗員たちの関係、心情の動きが分かりやすくなり、彼らの間に芽生えた連帯感も感じられるようになった。

まあこれはこれでもいいけれど、以前の今にも切れそうに張りつめた糸のような雰囲気も緊迫感があってそれはそれで良かったかもしれない気もする。

 

もしかしたら私はDC版より2009年版の方が好きかもしれない。

最初に見た方を好きになってしまうのだろうか…(鳥の雛のように最初見たものを受け入れてしまう性質があるのか…?苦笑)。

 

実はラストも2009年版の方が感動した。

でも、折原真帆があれで死んでしまったらしいとネットで見た時はショックを受けた。

私、死んでるとは思ってなくって…。(前からずーっと思っていたけど、やはり第三艦橋には絶対配置されたくないなぁ!あそこ危険すぎ!!)

あの娘はお気に入りなので、死なないDC版を押すことにする(笑)。

 

それにDC版の方が二部へ続くという形として見るならずっと納まりがいい。

ああいうふうにしたDC版を公開したということは二部に期待していいのかも?と思う。

というか、是非そうであってほしいものだ!!

 

もう少し詳しく言いたいことは又、項目別に書くとする。(笑)

 

 

31.古代艦長のこと

 

古代は随分くたびれた様子の男になっていた。

あの熱血漢の古代が、ヤマトがアクエリアスに沈んでから17年たった今、古びた貨物輸送船の艦長になって働いていた。

 

3年間、地球を離れたままで、妻の雪との間もうまくいっているのか、隙間風が吹いているのか、はなはだ心配な雰囲気であった。

娘、美雪の言葉によると「お父さんはヤマトに縛られている。」「お母さんは物わかりがいいふりをしてただけ、ほんとはすごく寂しかったのよ。」である。

娘がこんなことを言って父を責めるところをみると、この3年間だけでなく、もっと以前から古代は問題を抱えて生きていたように思える。

具体的なことの描写はないので、何があったか分からないが、人間性の本質に関わるようなことかもしれない。(心配だなぁ…苦笑)

 

ちなみに古代が髭面だったのは、あの沖田艦長の髭を意識していたのだろうか。

完結編で沖田を見送りながら、「お父さん」と言っていたし…、今でも沖田を一方ならず尊敬しているので真似てみた?

しかし、白髪でないので、大変むさくるしい感じ、もう少し年配になるまで髭は待て!とアドバイスしたい(笑)。

 

そんな古代だが、移民船団の残存艦を操縦して敵を攻撃する場面になると、俄然頼りがいのある男のように見え始めた。

やはりこの人、こういう時でないと輝かないのか?(苦笑)

 

科学技術庁長官になった真田さんの名指しで再びヤマトの艦長の任を受ける決意をした古代。

新設ヤマトの艦長となった古代には、私が以前のシリーズ中に頼りないと思ったような姿はもうそこに無かった。

年齢を経たということもあるだろうが、一作目の沖田と同じように頼りがいのある肝の据わった艦長の古代が復活編には居たのである。

 

私は今までのシリーズ中、古代の、行動の割に大きな口をたたき過ぎるところが(これが古代らしいところなのだが・笑)どうにも引っかかって全面的には共感できないキャラだと常々感じていた。(と言いながら、そんな青い古代もまあ好きなのだが…・笑)

しかし、復活編の古代は、言うより実行!の男になっていて、ものすごくカッコ良かった。

シリーズの途中の作品で何度も艦長を務めながら、「ヤマト完結編」で戻ってきた沖田に艦長の座を返した形の古代が、やっと真のヤマトの艦長となって私たちの前に姿を見せたことを、とても嬉しく思うのだった。

この古代艦長のヤマトの旅の続きを是非見たいものである。

ただ、同時に古代君には自分の家族もちゃんと守ってほしいのですけど…(笑)。

 

 

32.雪ちゃん。美雪ちゃんのこと

 

森雪、今は古代雪、物語冒頭部分でどこかへ飛ばされたようである(汗)。

2009年版では服が破れ吹っ飛んでいた。

その割に身体は傷ついていない様子で。

 

第一次移民船団の艦長としてアマール星を目指していたのが星間国家連合の攻撃を受けてほぼ壊滅状態になった。

雪ちゃんの乗っていた艦はアマールへワープしてボロボロながら到着していたようだが、雪は中には居ず、どこかへ飛ばされた疑惑がわく。

異次元だろううか?

DC版では服を着たままだから、まだましだが、2009年版のように真っ裸では嫌だなぁ…、自分に置き換えて考えれば「これは耐えられん!」と痛切に思う(笑)。

女性視聴者は皆思ったと思う。

制作者側は(男が多いのだろう)、男性にサービスしてるつもりかもしれないが、雪ちゃんの身になってちょっとは考えろ!!である。

 

ネットでは、もしかしたら何処かで誰かに保護されているのでは…説を見たことがあるが、(私が見たのはデスラー総統の所とかですが…)私もそうかもしれないと思っている。

そうだといいのに!と思っているのであるが、真っ裸で保護されるのもねぇ…気の毒な雪ちゃんである。

総統は「ええっ!?、見ちゃったよ~、ラッキ~」なんて喜んでいるかもしれないが…(苦笑)。

まあ。制作側も良心の呵責で反省して、DC版では服を吹っ飛ばすのを止めたんだと思うけどね(笑)。

 

雪ちゃんは古代君と結婚して、いろいろ気苦労もあるように思える。

古代君にいったい何があったのか、よく分からないが、とにかく雪ちゃんは地球で子育てをしながら健気に生きていたようである。

古代君への手紙には愚痴など書いていないようなので、やはりしとやかで、たおやかな、それでいて芯の強い女性なんだと思う。

…古代君、しっかりしなよ!と思う私なのだった。

 

雪ちゃんに比べると、美雪ちゃんは、もしかしたら父親似かもしれない。

昔の古代君のように言いたいことははっきり言う、一見しっかり者である。

しかし、こんな人より雪ちゃんみたいな人の方が芯は強いんだよね。

美雪ちゃんはしっかりしているように見えて、強がりを言ったりする分、案外もろい所もありそうなので、雪ちゃんがいない間ぐらい父親としてしっかり支えてやってよね古代君!(古代君、私に忠告されまくりである・笑)

 

 

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