ロマンアルバム・デラックス(31)宇宙戦艦ヤマト2

 昭和55年3月30日発行/    発行所・徳間書店/  122p/  定価・680円

 

 

(内容)

 

★シルバーシール(その名の通り、銀色のシールが付いてます)

 

★ポスター仕様(カラー)で、「地球防衛軍のメカ名鑑」、ヤマト本体ポスター(見

     開き状態で)、「地球側登場人物名鑑」

 

★「宇宙戦艦ヤマト2」全26話分フィルムストーリー 19p~42p(24p)

    ほぼ1ページ1話分で画面カットと粗筋が掲載

 

★「ドキュメント’74~’80・ヤマト栄光の記録」 45p~58p(14p)

    ヤマト一作目の企画段階から、テレフューチャー「新たなる旅立ち」放映が

    終わった時点までの記録である。

    一作目のTV放送当初の低視聴率打ち切りのこと、再放送によって遅れてや

    ってきた人気とブーム、映画「さらば…」の空前の大ヒット、ファンの異常

    な盛り上がり振りなど、当時の大ブームの経緯が書かれている。

 

★「わが内なる”ヤマト”」 59p~66p(8p)

    メインスタッフ7名のエッセイ集。(監督・舛田利雄氏、音楽・宮川泰氏、

    脚本・藤川桂介氏、チーフディレクター・石黒昇氏、助監督・棚橋一徳氏、

    総作画監督・小泉謙三氏、作画監督・白土武氏)

 

★「メイン声優座談会」(メンバー、富山敬氏、中村秀生氏、麻上洋子氏、伊武雅之

    (現・雅刀)氏) 67p~74p(8p)

 

★「オール30、声優アルバム 」 75p~82p(8p)

    「一作目」から「新たなる…」までの作品に出られた30名の声優の方の写真

    (編集部による一言エピソード記述付き)

 

★「全設定資料集」 83p~101p(19p)

     「ヤマト2」分のメカ、人物から始まって、地球側基地内、彗星帝国内部

      の舞台設定、武器、小物類など多様にわたる。

 

★「アフレコ台本集 」 102p~121p(20p)

      第3、16、17、24、26話の5話分を収録。

 

 

 (感想)

 

一作目の「ヤマト」を扱ったロマンアルバムと比べると、格段、はるかに大人向けになっている。

フィルムストーリー部分の、画面のカットは小さ目な分、何場面も掲載されている。

粗筋を読みながらカットを見ると、「ああ、そうそう、こんな話だった…」とちゃんと一話一話、思い描くことが出来る。

字も小さいので情報が詰まっている感じであろうか。

いや、むしろ一作目のロマンアルバムが字も大きすぎたのか!?(笑)

このロマンアルバムを読んでいると、ほんとに一作目のものが対象年齢低め設定だったのだろうと思われる。(何度も言うが、絵本ぽいんですよ…笑)

 

私が懐かしく、面白く読んだのは、「ヤマト栄光の記録」という当時のブームについてのレポートといえる記事である。

「ヤマト」製作の企画段階から、妥協しない製作姿勢故に、どんなに製作の現場が大変だったかということから記述は始まる。

リアルタイム放送時の低視聴率、再放送から徐々にブームが大きくなっていったこと、このパート1のTVの編集版の映画「宇宙戦艦ヤマト」上映で益々盛り上がった人気、社会現象といっても良かった「さらば宇宙戦艦ヤマト・愛の戦士たち」の大ヒットとファンの熱狂振りがここに書かれている。

ああ、こんな流れでファンは皆、熱く燃えたんだ!と懐かしく読んだ。

 

私はその当時は田舎の女子高生だったから、ここに書かれているような、大都市でのファンの活動や、ヤマトコンサートが開かれていたことなど、はるか遠い世界の話であった。

これを読むと、過去のことであるのに、都会の人っていいよなぁ…と無性に羨ましい気が起こってくる(笑)。

 

そう、確か私が、これらの情報を垣間見たのは、少ないアニメ雑誌の紙面のひとコマからであった…。

今から思うと、あの頃の田舎と都市部って大きな差があったんだなぁ(しんみり…)。

今のようにネットでいろいろな情報が田舎でも都会でも同じように得られて、イベント等には行けなくても、そのことについての記事を読めたり、運良くば、映像の一片を観ることができることもあるなんて…、誠に有り難いことである。

あの頃から思えば夢のようである…。

 

そういえば、私は高校の時友達と自分たちの住む地方について、「文化、果つる地」なんて自虐的な物言いをしていたような…(苦笑)。

隣の大阪まで行けば文化にも十分触れられたと思うが、大阪、隣だが、近いようで、行こうとすると結構遠かったのだ(私の文化を求める根性が足りなかったのか…?・笑)。

すみません横道それました。

ヤマトがらみだけではなく、いろんなことを思い出させてもらいましたよ、この記事には…。

そんないろんな思い出も今となっては、「何もかもみな懐かしい」のかもしれない(沖田艦長か…?・笑)。

 

続く記事「わが内なるヤマト」は一人あたり1ページの分量で書かれている。

作品が高みを目指した故に製作側の人々がとても大変だったというのが、どの方の文面からもひしひし伝わってきた。

そして同時に「ヤマト」製作に携わったことの熱意と誇りも伝わってくる読み応えのあるエッセイだった。

 

声優さんの座談会でもこの「大変だった」ということが語られていた。

アフレコの時に「絵が無かった。ほとんど白味でやってたよね。」(富山氏・談)という話が出ていた。

絵が上がってくるのが本当にギリギリだったということですよね…。

私は旧作を観ていてたまに、絵の口の動きとセリフがずれているのを見たことがあった気がする。

そうか、そういうことだったのかと納得しながら、そんなでアフレコして、ちゃんとあそこまで仕上げてるとは、やはり声優さんも音響監督さんもスゴイ!!と思った。

話は最終的に声優の立場云々というような話にも発展して、この座談会もなかなか読み応えがあったのだった。

 

この本の最初の部分に編集部の言葉で「「パート1」や「さらば…」の出版物は数多く出てますが、「ヤマト2」に関しては非常に少ない」と述べられていたが、たしかに「ヤマト2」のムック本と銘打っているのはこの本くらいかも?

ただ、後で又、このコーナーの紹介本として取り上げるムック本の中には、「新たなる…」の後に「ヤマト2」についてのページが入っているものもあるので、私が持っていない「さらば…」本の後部分に…なんてこともあるのかもしれないが?

「さらば…」の本ってたくさん出たようなので、きっとそれの陰に「ヤマト2」は隠れた扱いになってしまったのかもしれないなぁと思う。

  

 

(独断!デスラー総統追っかけ目線メモ)

 

このムック本で「ヤマト2」を振り返ると、デスラー総統を楽しむという視点からしても、やはり「ヤマト2」は外せない作品だとつくづく思った。

フィルムストーリーの部分で、所々に出てくる総統のカットを見ながら、もう一度、本編を見直したくなってきた。

 

「メイン声優座談会」で伊武さんが、「パート2になってから「あれ?」と思うところが出てきた。パート1の時、自分なりにつかんだデスラー像がパート2になって少し変わった感じなんだ。たとえば”デスラーならこうは喋らないだろう”というところがあるんだよね。」と述べられていた。

一作目に関しては「あのお風呂の中のシーンなんか、すごく面白かった。あれがデスラーなんだと思うね。」と。

きっと視聴者皆が、一作目と「ヤマト2」の間に感じたデスラー総統の印象の差は、この伊武さんの言葉に端的に言い表されていることだろう。

 

中村さんも「それぞれのキャラクターの役柄が違ってきたんじゃない。パート1とパート2では抵抗を感じる部分もあったもの。」と言われていた。

そういえば、パート2の島だって…、一作目の島とは異質だったように私も思う。(その後のシリーズでは、修正されたような気もするが…苦笑)

確かに演じられている声優さんがこういうことは一番感じてらっしゃることだろうと、これを読みながら至極納得したのだった。

 

例えば、一作目と「さらば…」の総統では、「さらば…」での総統の出番が短かったせいもあってか、そんなに変わったとは感じなかった。

でも、「ヤマト2」では最終話近くまで、ちょこちょこ小まめに出てたし、大帝との絡みの場面や、サーベラーら彗星帝国側の人物との絡みの場面もそれなりにあったから、変化がはっきりと分った。

勿論、「ヤマトの諸君」との何回もの印象的なモニター対話もあったし…(笑)。

言動の面で、明らかに一作目の総統とは違和感なきにしもあらず…と視聴者皆も思ったでしょ?(私は思った!・笑)

 

実は私は、この差異を割り切って捉えている。

デスラー総統に関しては、一作目はあれはあれで独立完結しているのだと。

あの一作目の人を寄せ付けないような強烈なオーラの持ち主、冷徹で一分の隙もない絶対的な独裁者の趣のある総統も好きだ。(カッコいいよね!)

 

でも、「ヤマト2」からの総統、後のシリーズに出てくる、基本物凄く恐いけど、ほんのちょっぴりなんだけど、微かに隙があるような雰囲気がある総統も捨てがたい。

正直なところ、「ヤマト2」以降のシリーズのデスラー総統を観ることがなかったら、私はいい歳になって、このような強烈な急性デスラー総統熱に罹患することはなかったと思う。(病気か!?笑)

 

中村さんが言われるように「役柄が違ってきた、キャラの役割が変わった」一番の人がデスラー総統。

だって宿敵、それもトップのラスボスから、主人公古代君の友人になるんだよ…、普通あるか?ないでしょ、そんなの…(笑)

その結果、ちょっぴりカッコ悪い場面も多くなったかもしれないけど、私的にはOKですよ。

「ヤマト2」なくして後の総統はありえないので、「ヤマト2」は総統にとってもきっと大切な一作なのだった。(あれがないと死んだままだよ…苦笑)

 

話は変わるが、この本の設定資料に、総統がサーベラーの謀略で幽閉された部屋の資料が載っていた。

吊り下げ式でエレベーターのように上下に移動する部屋なのだが、底面が四角じゃなくて、八角形で上部が底面よりすぼまっているような形をしている(ドーム型?)。

遠目で見ると夜店で売っているヨーヨーみたいな気もする。

あれの内部の家具等も設定で見られた。

ベッドやテーブルなんかがあって、まあまあ広さもあるけど、この部屋にシャワーとかの設備はある??という様子だった…。

やっぱり幽閉中にはシャワーも浴びられてなかったかも…?疑惑が…。

あの風呂マニアにとってそんなことって…!!タランの言葉を借りましょう「おいたわしや!総統!」であろう。

ほんとにそうだとしたら、作品中でシーツをぶん投げて激怒してたのも、無理ないかも…、もっと暴れてたんじゃ…(苦笑)。

いや、何処か壁部分に収納されてて見えないだけで…、シャワーは使えてたよね…、そうだったと思いたい!(だってそうじゃないと、総統、かわいそう過ぎるもん!笑)

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