77.「2202」のテレサのこと

 

宇宙戦艦ヤマトの旧作(映画「さらば…」と「2」の両作品)ではとにかく「スゴイ人」だったテレサだが、今作品も又いろいろな面でビックリさせられる超「スゴイ人」であった。

「2202」自体が旧映画「さらば…」に準じているので、テレサのビジュアルも旧映画版に準じているのだろう、全裸の少女で基本横向き祈りのポーズを踏襲している。

しかし、このビジュアルは見る人によって見え方が違って、見る人の見たい姿で見えると製作側が語っているというのを読んだ。

だとしたら、男性だったり、も少し妙齢の婦人だったりに見えていた人もあるのでしょうか…。

少女で全裸って…、こんなのを見たいと思っていたのはヤマトの登場人物の内の誰だ?!(笑)(人の内面のことなので仕方ないのかもしれないが、昨今、これはマズイのでは…・苦笑)

しかしテレサ側はこの位サービスしないとメッセージを送っても応答しないと思っているのかもしれないので、どんな姿を見て貰っても応答してくれればOKあろう。

きっと寛容、ウィンウィンで、まあいいかというところだろう…、サービス精神旺盛な感じである(笑)。

 

前述したようにテレサはこれまでの作品でも超人だったので今回も出てくるからには相当スゴイのではと思ってはいたが、そんな私も今回のテレサには大いにびっくりした。

今回のテレサは普通の人間とは全くかけ離れた存在なのである。

テレサは個人ではなくテレザート星の人々の意思の集合体らしい。

テレザート星の人々って肉体を捨てて精神だけになり皆で集合してこの世界から高次元の世界へ行ってしまったようなのだ。

そして伝説として残っているところによると意思を力に変換すると星座の位置も変えることができたとか…、星座の位置って…!!?それってスゴくないですか?スゴ過ぎると思う!!(笑)

 今は高次元に存在するので、次元の低い世界のことは過去から未来までの時間軸を含め、お見通しらしい。

この超常の存在のテレサが危惧していたのだから、やはりガトランティスが手にしていた「滅びの方舟」は見捨てておけない程危機的なものだったのだろう。

テレサ自体が星座の位地を変えるような力があるなら、なんとかしてくれたらいいと今回も思ったのだが、なにやら出来ないらしい。

この世に直接関わるのはよくない…と。

違う次元にいるから出来ない?もうそういう生臭い戦いとは縁のない存在になっているから手を下せないということか?

未来も知っているというテレサに斉藤が未来を教えろというと、教えると未来が変わるかもしれないからそれも教えられないとつれない返事。

そのくせ私がここに呼び寄せた「縁」のある人たちで「滅びの方舟」をなんとかするのが定められたことだから、未来はそうだから、頑張ってね!とほぼ強制的に指示するのである。(…、いつもこんな感じなんですよねテレサって…苦笑)

「縁」で結ばれたものが「和」を持ってあるべき未来を!と神々しく道理を説くテレサなのだ。

やけに「縁」「縁」と連呼するテレサに私と一緒に鑑賞していた20代のウチの娘は「結婚相談所か?!!」とツッコミを入れていた。

確かに、結婚相談所、仲人さんのようなテレサである。

テレサを仲人さんにして、ヤマトとデスラー、キーマンらがご縁を持つということですね…(笑)。

旧作映画版もそうだったが、伝えたいことを伝えると一旦物語からは退場してしまうテレサ。

そして今回も旧作と同じようににっちもさっちもいかなくなった場面で再び現れ、滅びの方舟に突撃するヤマトに同行してくれるのだった。

(先日「Gozilla 星を喰らうもの」のDVDを観て分かったのだが、高次元の者たちって、現世界とかかわるには「依り代」のようなものが必要なのですね。

高次元のテレサは突撃するヤマトを依り代にして最後の戦いに関わったということか…?)

 

今回のテレサの特筆すべき点は、実はこの戦いの物語が終わったあとの部分だったと思う。

テレサの登場時に、テレサのいる高次元って、あの世とこの世の間にあって、斉藤曰く三途の川の入り口みたいなものと表現されていたのだが、本当に死んであの世へ行く前の人たちががテレサのいる場所にみんな(本当にみんなかな?)いるようなのだ。

山本玲はここからこの世に帰ってきた。

後に森雪と古代も戻ってくることになる。

 

テレサはここでは少女の姿ではなく、大きな樹木のような姿である。

そしてびっくりすることに死んでここに来た人は希望すれば(?)テレサの一部になれるようだ。

テレザート星の人たちの精神の集合体だが、テレザート星人でなくても集合体に入れてもらえるようなのだ。

ミルや、サーベラー(桂木透子)、キーマンの声がこの大樹から聞こえてきて、そのうち個としての意識はなくなってしまうようなことも話していたから…取り込まれているよね…。

そしてみんな、テレサの一部になれるのかも…。

きっとテレザートの人たちは肉体から精神を解き放って…というようなことができる装置、技術をもっているのだろう。

「2199」で出てきたイスカンダルのコスモリバースも人の意識、記憶を使って動かす装置だったから、なるほど、最先端の技術というものは人の意識、精神を装置によって変換して絶大な力とするというものなのだろう、きっと。

テレサがさかんに人の「想い」が一番大切だと言っていたけど、パワー(力)の源という意味でもあったのかと思うとちょっと怖いものがあるかも…(テレサは今はもうそんな力をつかって云々とは考えてないと思うけども…・笑)。

 

終盤になってテレサの全容がほぼ分かったのだが、それを踏まえて改めて考えたとこは、ズォーダー大帝がテレサを欲していたのは何故なのかということ。

 

テレザート星にヤマトの人々とデスラー総統が会した場面での、「テレサは誰かの願いを適えてくれるようなものではない」という真田さんの言葉に、デスラー総統は、それはとうに承知の上だという顔で「大帝はテレサを…」と言い掛けて最後まで語らなかった。

 

当初私は、テレサの星座の形も変えられるというような強大な力を手に入れて、宇宙の人間粛清をより進めようとしているのかな?と単純に思っていたのだが、デスラー総統の言葉はそれとは違う理由があるようなニュアンスを含んでいたように思えて、じゃあどんな理由なの?

デスラー総統の中途半端な台詞を聞くと、大帝はテレサをどういう理由で欲していたのかが非常に気になってしまった。(モヤモヤするよ!・笑)

 

あの世とこの世の間のような高次元に在るテレサの本当の姿が大きな樹のようだったことと、ズォーダー大帝がガトランティスを滅ぼす装置ゴレムを自ら発動させたにもかかわらず滅びなかった我が身を「知恵の実」を食らったガトランティスと称していたことから連想されるのはエデンの園の中央に植わっているという2本の樹のことでしょう。

楽園の中央に知恵の樹とともに植わっていたもう1つの樹は生命の樹。

その実を食べると永遠の命(不老不死)を得るという樹。

 

テレザート星の人たちは、精神の集合体になってどのくらいたっているのか?伝説として宇宙の人々に語られているところをみると相当長いあいだ存在しているのだろう、今後も存在し続けるとしたら永遠の命めいた存在なのかもしれない。

テレサが樹の姿であることは「生命の樹」を想像させる…。

人間(アダムとイヴ)が楽園を追放されたのは、知恵の実を食べた人間が、今度は生命の樹の実を食べて永遠の命を得て、神と同等の存在になるおそれがあるからだった。

 

ズォーダー大帝もテレサを手に入れて、テレサのような永遠の命になる術を得ようとしていたのだろうか。

大いなる愛による救済名義で滅ぼした人間と、ひいてはガトランティスを含め自分自身もテレサのような精神の集合体として永遠の存在になることだった?

 考えるに、古代アケーリアス文明の人達が神のような存在だと思ったけど、テレサも神のような存在に思えてきた。

 テレザート星の人たちも、進みすぎたテクノロジーを手にしたその果てに人間から遠く離れた存在になってしまったとしたら彼らこそ「生命の樹の実」を食べ神と同等の存在になったものなのかもしれない。

 

死んだミルや桂木透子やキーマンがテレサの中で安らぎを得たような描かれ方をしていたが、どうでしょう…?

もし、私が死んだとしてテレサの一部になりたいか?と考えると、私はなりたくないかも。

あんな神もどきのものに取り込まれるくらいなら、きれいさっぱり無になる方がいい気がする(苦笑)。

 


78.時間断層のこと

 

コスモリバースを使った結果できたらしい。

副産物だが、これは大変な副産物である。

ここでは時間が通常の10倍の速さで過ぎてゆく。

「ドラゴンボール」の「精神と時の部屋」みたいな感じかな(笑)。

これのおかげで、地球の復興はもとより、強大な軍事力も短期間にして持つことが可能となった。

…、でもちょっとチート過ぎませんか?この設定。

まあ、元のコスモリバース自体得たいの知れない魔法のようなスゴイ装置らしいので、こういうことも十分起こりうるのかもしれないが。

 

対ガトランティス戦で嫌というほどの戦艦が出てくるのも、時間断層あってのことだろう。

ガトランティス側も、半分生体のような戦艦を星自体がどんどん生み出しているようなので、どっちもどっちである。

これらのおかげで、宇宙空間に驚くほど多数の戦艦戦闘風景が繰り広げられる。

あまりにたくさんで、なんだか見苦しく思っているのは私だけか…(苦笑)。 

「銀英」の新作アニメを観た時も、帝国側、同盟側ともやはり多すぎるような戦艦が画面にあって、多い!!と驚いたのだが、ウーン、昨今は多いのがトレンドなのでしょうか…。

 

アンドロメダ級戦艦がいっぱい出てきたり、ヤマト級の戦艦「銀河」が出てきたりと、強大な力のガトランティスに対抗して地球側がなんとか戦えているのも全て時間断層のおかげといってもいいと思えるので、ありがたいことは非常にありがたいと思うのだが…、劇中ではコスモリバースの「負の遺産」という風に言われたりもしている。(言われよう「負」ですよ…)

それというのも地球の人々はガミラスと一緒になって、これを主に軍事利用としていたからだ。

ガトランティスが現れていなかったとしても、戦艦や兵器を此処でどんどん造って富国強兵路線を辿ろうとしていたからからだろう。

古代をはじめとするイスカンダルへ赴いた者たちがスターシャと交わした平和利用限定条件での技術供与の約束がすっかり反故にされてしまっているのだ。

 

思えば波動砲もイスカンダルから供与された波動エンジンの副産物だし…、スゴイ装置にはスゴイ副産物がくっついている。

そして人間というものはスゴイものを手にすると有頂天になって、良からぬ方向へ暴走しがちだ。

スゴイものの力を自分たちの力と思い込んで暴走した挙句、痛い目にあってからでないとなかなか立ち止まれない。

ということで現状は時間断層も波動砲も有頂天に使い放題の地球人たち…。

 

しかし、もしかするとスゴイ装置を供与する側イスカンダルのスターシャは波動砲にしても時間断層にしても、地球人がその力に溺れるのを半ば承知で供与しているのかも…。

その上で、戦いにその力を使うな!!と地球側にキツク念を押していたような気もする。(試している?) 

実際イスカンダルだってはるか昔は力を謳歌して大マゼラン銀河に君臨していたのだから、自分たちを棚に上げて…という気もするが、我々と同じ轍は踏むなという親心と好意的に受け取っておくが…。 

スターシャが今の地球をどう思っているのかは、この作品では一切描かれていない。

ものすごく怒ってるかもしれないし、やっぱりそうなったか…と呆れながら諦めているもしれないし、描かれていない分ちょっとコワイ!!(笑)。

 

途中まではガトランティスとの派手な物量戦を可能にするの為の設定だと思っていたこの時間断層が滅びの方舟と共に消滅したはずの戦艦ヤマトと主人公たちをもう一度物語世界へ呼び戻すための設定だと分かった時の驚きは大きかった。

何回も書くが、特攻じみた最期で終わった旧作映画版とは違って生還してくれただけで私の評価点はグンと上がっている。

時間断層と高次元にいるテレサの相乗効果であの状況からの生還が出来たということについては、出来すぎ感も無きにしも非ずだが(反則気味である・笑)、私の気持ちはもう単純に戻って来てくれて良かった!、ホッとした!である。

今作品で私は過去の作品、映画「さらば…」のトラウマから40年来に脱出できたかもと思えたこともあって、この展開を支持します。

 

あと、主人公の古代と森雪の生還と時間断層の存続とが二択状況になって、国民投票を行い民意で主人公たちがの救済が選ばれるというのも大変今風な展開でちょっと驚いたし、感心した。

 

 一昔前の作品なら、よくて上層部の人たちの合議で決定といったところだと思う。

時間断層の存在って地球のこれからの進む方向に関わる一大事だから(象徴的なものだし)、民意を反映した選択でなければならないということか。

負の遺産は民意のもと、物語から退場となった。(そりゃそうだ!)

いろんな意味で、妥当な判断でしょう。

あんな「なんでもかんでもどんどん造れちゃう」みたいな場所が地球に在り続けたら、もし続編の作品を作るにしてもやりにくいよね(危機的状況が生み出せなくなるかも…・笑)。

 

ちなみに投票に先立って、古代・森救助派代表として民衆に向けて演説した真田さんの姿を見て、映画「復活編」で指導者立場(偉い人)になっていた真田さんを思い出した。

この時点でも、こういう演説のできる人物だったから、「復活編」時でああいう地位に就いていたのか…と納得した。

真田さんの演説で「復活編」を思い出し、「復活編」の続編が観たいとあらためて思う私です!(私は「復活編」が好きなのです!)。

 

 

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