37.映画・SPACE BATTLESHIP ヤマト(実写)について

 

観て思ったのはアニメとは別物である。

物語は一作目に「さらば宇宙戦艦ヤマト・愛の戦死たち」要素をドッキングさせていた。

謎の星ガミラスから遊星爆弾による攻撃を受けて地球は滅亡しかかっているというのはアニメと同じ。

イスカンダルを目指して放射能除去装置(?)(後で分かるけど、そうじゃないよね、あれって…・笑)を手に入れに行くのも同じだが、出立した後どんどん違う展開が待っている。(まあ大筋は同じだけど、細部はうんと違う)

 

仕方ないでしょう。

実写だし、制作予算だってあるだろうし、キャストの年齢のこともあるだろうし、色々その辺を考慮して感想を述べると、まあ、こんなものでしょうと私は思う。

こんなのダメ!とは言わない。

これはこれでいいのでしょう。

でも、良かった!感動した!とも言わない。

だって私はアニメ一作目を観ているから。

きっとアニメ一作目ファンの人は皆、多少複雑な気持ちになるはずだ。

この映画だけを観た人は私とは違う感じをきっと受けていると思う。

 

まず古代君がキムタクだということ、木村拓也はどのドラマに出ても木村拓也であるという強い個性を持った俳優さんだと思う。

なのでここに居るのは古代君ではなく、ヤマト乗組員、木村拓也君であった(笑)。

山崎努の沖田艦長もアニメの沖田よりも心に暗いものを持っていそうで一筋縄ではいかない雰囲気の人物だった。

そして何よりびっくりさせられたのが黒木メイサの大変好戦的な森雪ちゃんである。

雪ちゃんがコスモタイガー乗りになっている!!青天の霹靂である(笑)。

真田さん(柳場敏郎)と徳川さん(西田敏行)は、さほどイメージを壊していない。

島君(緒方直人)も存在感が薄い分、違和感はない。

 

物語の冒頭、ヤマトが地球を飛び立つシーンは、いつものヤマトの曲がかかっただけで観ていて感動した。

やはりあの曲で旅立ちというだけで条件反射のように涙が出そうになるという…、ヤマト好きの性でしょうか(笑)。

わくわくするのは実はこの冒頭だけなのである。

後は、旅の途中って、ずっと重苦しい雰囲気がするのだった。

 

ガミラス側が戦闘を仕掛けてくることも多々あるのだが、ちゃんと戦闘しているのは分かるが、スカっとした!やったね!という高揚感は観ていてない。

危なかった、大丈夫か?みたいな沈んだ気持ちにいつもなるという…、もうちょっと元気になれるように作ってもらっても良かった気がするのだった。

 

これはガミラス星に(実はイスカンダルとガミラスは一つだったというオチなんですが、汗)おける戦闘でもそうなのだ。

ここは「さらば…」の流れを全面的に取り入れていたので、もう白兵戦で降り立った乗組員たちが死にまくりである。

行った人たち、みんな死んだ…。

古代と雪の二人しか戻って来れなかったという、非常に悲惨で暗い物語展開であった。

 

多大なる犠牲の上に、なんとか無事に放射能を除去出来るものを手に入れることは出来たわけで、ホッとして帰路についたヤマトの人々。

すると、地球間近の空域で突如、遺恨を晴らすために追って来たガミラス残存の巨大艦の攻撃を受けることになるのだ。

そして、この危機を打破する為に古代がとった方法は「さらば…」のラスト方式であった。(特攻みたいなヤマトごと突撃ってやつ)

 

なので途中の暗い展開にも気が滅入ったが、ラストにも又うんと重苦しい展開が私を待っていた。

古代の犠牲でガミラスは完全に滅び、地球は無事に蘇った、めでたし、めでたし、なのだが、しかし、私の気持ちはズーンと沈みましたよ(苦笑)。

 

この作品、それなりにまとまっている。

しかし、ヤマトにしては地味過ぎる印象の映画になっている。

私は、もうちょっと派手で華のある展開が良かったかなぁと思うのであった。

 

 

38.古代と雪のこと

 

雪は途中まで古代に何かと突っかかっていた。

そういう勝ち気な男勝りのキャラクターになっていたからだ。

戦闘中、いたしかたなかったとはいえ、自ら手を下す形で味方を爆破しなければならなかったことに傷心の雪を気遣う古代。

しかし、こともあろうか、古代はどさくさに紛れてキスをしたあげく、そのままもっと深い関係をもっていたようだった(雪ちゃんも同意の上であるが…・苦笑)。

 

ラストのラスト、雪が古代の忘れ形見の男の子と共に蘇った地球の小高い丘の上で戯れるシーンが上空から見下ろすカットで映されていた。(パイレーツ・オブ・カリビアン3みたいだ・笑)

観客も大人だろうし、こういうのもいいのかもしれないが、ちょっと抵抗あったなぁ…(苦笑)。

 

私の個人的な意見では「もう!良くないよね、あんな所であんなことされちゃ!」(私にとってヤマト艦内は神聖な場所という感じがあるので!・笑)

生命の危機を感じる状況で生殖本能が発動するのは生物としてごく自然なことなのかもしれないが…不謹慎な気もするぞ(苦笑)。

おまけにワープ中もいかがわしいことの最中だった疑惑が…、大丈夫か、そんなことしてて?(笑)

私の採点では大きく減点だ!!(笑)

 

 

39.ガミラスとデスラー総統のこと

 

ガミラスは人間型の生命体ではなかった。

「個であり全体である」とか言っていたが…、意志生命体だとネットで書いてあるのを読んだ。

光みたいなのが本来の姿かな?いろんなものに乗り移ってるってことでしょうか?

詳しくは分からないが、とにかくアニメのような人類とほとんど同じというのではない。

乗り移ってる(?)身体みたいなのも、いかにも異形の宇宙生物、映画エイリアンのもっとソフトバージョンみたいな感じ。

得体の知れない生き物という意味でのクリーチャーっていうか…?

いくらデスラー総統好きの私でも、あんなのに感情移入は出来ない(笑)。

 

しかし、日本人の俳優さんでガミラス側をキャスティングすることを想像してみると、もう想像段階からとんでも作品になることは目に見えている。

だから、この選択は間違ってはいなかったと私は思う。

が、この宇宙生物にしたことが、作品のイメージをアニメとは全く別のものにした要因の一つだとも思う。

 

だってあの一作目のアニメって、憎むべき謎の敵が、分かってみたら自分たちとほぼ同じ人間だったということの衝撃、相容れることの出来ない利害のぶつかり合いの生んだ戦いで、いたしかたないとはいえ、相手側を壊滅させることでしか戦いの終結をさせることが出来なかったことへの悔恨、それらを踏まえた上での、地球を救済できたことの安堵感と、喜びが描かれていたからだ。

 

設定が違う時点でイメージが違うのは当然で映画は映画の世界で行けばいいのだが、ヤマトじゃなくて、SFホラーみたいなジャンルの映画になっていたなぁ…とも思う。

相手が人間型でないなら、もっと割り切って派手に相手をやっつけて、気持ちがスカっとするような演出じゃダメだったのかな?と私は思っている。

 

ガミラスがあんなクリーチャーで、すでにしょんぼり気味の私であったのだが、唯一の救いはガミラスの生命体(自らはデスラーと名乗ってた・笑)の声を伊武雅刀さんが担当してくれたことだ。

よかった~。

せめて総統のオリジナルのお声だけでも耳にできたことが私を慰めてくれた。

ラストでクリスタルのお身体でヤマト艦内に姿を現したデスラーを名乗るガミラス星残存の集合体はシルエットが総統に大変似てらっしゃった。

お声は伊武さん、もうあれ観ただけで、まあ許してやるか!と思った私であった。(許すって何を?えっ、色々ですよ・苦笑)

 

 

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